経営者の条件とは?

今日は通院の日だったので、病院の待ち時間で本を2冊読んだ。一冊はwork3.0ですぐ読み終えた。

もう一冊は読みかけだったドラッカー。7章の成果をあげる意思決定とはが一番深く心に残った。

意思決定とは「かなり正しいものとおそらく間違っているであろうものからの選択」であり、事実ではなく意見からスタートする。ただしそれは事実による検証を求めなければならない。創薬研究でも検証できない仮説をスタートにおくヒトは多いですね。経験的にそういう場合はまず間違いなくデスマる。

もう一点は意見の不一致を歓迎しない傾向がある。叩くだけ叩いておけばいいのにと常々思うんだけど。本書ではこのような不一致は想像力を刺激するので良いとしている。不一致こそ想像力を出すためのひねるべき栓だと。

ProductName ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社 / 1890円 ( 2006-11-10 )


  • 何をしたいかではなく、なされるべきことを考える習慣を身につける
  • 人事がうまく行かなかった場合には、単に人事が間違っただけ
  • 会議には、成果をあげるものとあげないものの二つに一つしかない
  • 趨勢よりも趨勢の変化が重要
  • 成果をあげる人のタイプなどというものは存在しない
  • 何に自分の時間が取られているかを知ることは重要
  • 貢献に焦点を合わせよう(特に知識労働者)
  • 知識労働者は自らが自らに課す要求に応じて成長する
  • 強みを知ろう
  • 意思決定はエグゼクティブの仕事の一つにすぎない

対話とは何か?

筆者のバックグラウンドは外務省の大使館勤務だったそうで、そういった経験から語られる対話の本質については非常に面白かった。

価値観や信条が異なり相入れることはないというのが前提で、相手を否定せずに妥協点を目指して摺りあわせていくプロセスが対話。

ビジネス本にありがちなタイトルと内容があんまり一致しないけど中身は面白かったので、興味があれば読んでみるといいと思いますね。特に日頃サイエンティフィックな議論をしているヒトこそ対話を重視すべきかなと最近思うこともあった。

ビジネスシーンだとアサーティブな態度とかもセットだな。

ProductName 不都合な相手と話す技術 ―フィンランド式「対話力」入門
北川 達夫
東洋経済新報社 / 1680円 ( 2010-09-23 )


  • 相手のことはわからない。わからないから話す。その前提の下で「どうすることが自分の身のためか」を考えて行動する
  • 国際コミュニケーションは「相手のことはわからない」という前提で成り立っている
  • 合意はまず価値観のレベルで考え、次に発想のレベルで考え、最後に主張のレベルで考える
  • 多数決は対話の観点からすると、多数派による強制となり(必ずしもよい解決策とは成り得ない)
  • 前提や結論そのものは論理的にも非論理的にも成り得ない
  • 対話とは戦わないコミュニケーション
  • 「何を問題とするか」は個人の価値観や知識や経験に大きく依存している
  • エンパシーとシンパシー
  • 「みんな」という基準を持ち出すのは対話的な態度ではない
  • ミクロのなぜ?とマクロのなぜ?

明日から部下にイライラしなくなる本

部下いないけど。

テクニカルな内容を期待してたけど、ごく普通のよい上司を目指しましょう的な内容だった。

  • 部下への苛立ちのほとんどは相手の考え、状況が見えないことに起因します
  • 価値観の相違と捉えて「この部署ではこうだから」という論理で話す
  • 大事でないことを大事であることと同様には指示しない

インド人完全無視カレーのインド人の気分を味わった

インド人完全無視カレーっていうものがありまして、腹を抱えて笑いながらあのインド人の立場だったらどういう気分なんだろなーと思ったことがありましたが、実際に自分が似たようなシチュエーションに遭遇するとは。

結果としてそうなったというか、誰にも悪意はないのはわかるんだけど、結果不義理というか、完全に無視された結果になったというのは初めてだった。自分はチョコチョコ不満を言えば、まぁいいかなーと思って切り替えるほうなんだけど、これはさすがに無理ですな。

ProductName カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック
柴田書店
柴田書店 / 2625円 ( 2007-08-01 )


巻き込み術に必要なのは、ホスピタリティと熱い思い、そしてヒトを大切にする

標題の通り。本から情熱が伝わってきます。自分ブランドの教科書よりはこっちのほうが読んでて面白かった。

ProductName 藤巻流 実践・巻き込み術
藤巻 幸夫
講談社 / 1470円 ( 2009-04-21 )


  • 笑顔というのは大切なコミュニケーションの手段でありホスピタリティの一つである
  • 価値基準を他人の評価に委ねない
  • テンションを跳ね上げて熱を共有するのは巻き込み術
  • 積極性がないとヒトは巻き込めない
  • 精読は必要
  • スローとホスピタリティ
  • 宗名臣言行録

さて、巻き込み術のはなしで面白いのはもう一冊あると思うのです。

コグレマサトさんの「マキコミの技術」ですね。

ProductName マキコミの技術
コグレマサト
インプレスジャパン / 1575円 ( 2010-12-17 )


巻き込み技術にはヒトを巻き込むので、ホスピタリティの重要性は同じ方向を向いているのだと思うのだけど、前者は強いネットワークを想定しているのに対して、こっちは弱い紐帯的な感じを受けるわけです。それはソーシャル・ネットワークサービスをうまく使っているとかそんなところにあるのかなぁと。継続して情報を出していると、それなりにひととなりや、何を成したいのかはなんとなく共有されてくるので熱い思いをぶつけなくても方向性の共有がしやすいってのもあんのかなぁ。

藤巻さんのやり方は自分自身を仲介としてエッジが対称な強い関係性を構築しているのに対し、小暮さんのほうはなんとなくしなやかさを感じるんだよなぁ。

あとでもう一回読み返してみようっと。

5つの、シンプルでありながら複雑かつ意味深い問い

サラリーマン研究者は資本主義社会においては労働力というサービスを提供する商品にすぎないが、一方で知識資本社会においては、自分で自分の知識資本をもとに経営する一種の経営者である。

つまり我々は知識資本の経営者としてドラッカーの5つの問いかけに答えなければならない。

  1. われわれのミッションは何か?
  2. われわれの顧客は誰か?
  3. 顧客にとっての価値は何か?
  4. われわれにとっての成果は何か?
  5. われわれの計画はなにか?

ProductName 経営者に贈る5つの質問
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社 / 1575円 ( 2009-02-20 )


  • 計画とはその都度のものではない。うまくいくものを強化し、うまくいかないものを廃棄していくという連続したプロセス
  • 組織には二種類の顧客がいる。活動対象としての顧客とパートナーとしての顧客
  • どれだけ利益をあげたかよりも、どれだけ大事な顧客をつかんだかのほうが大切
  • 計画とはゴールをアクションプランに翻訳するものである

プレゼンの心構え

スライドの見せ方はプレゼンテーション Zenを読めばよい。こっちは準備を入念にとか心構えとか話し方の本。少人数の会議を成功させるためにどうすればよいかとか。

PREP方式

  • 観点
  • 理由
  • 実例
  • 観点

ProductName ブライアン・トレーシーの 話し方入門 ー人生を劇的に変える言葉の魔力
ブライアン・トレーシー
日本実業出版社 / 1365円 ( 2008-07-17 )


  • 結末から考える
  • 5 x 5 のルール
  • この会議がうまくいったらどんな結果になるだろうか?
  • 全員が無言で賛成するような議題は皆何も考えていない(ので失敗する)

資本主義経済では労働者は剰余価値を生み出して資本家に貢いでいるということ

資本主義経済での資本家と労働者の関係をストーリー仕立てでわかり易く解説している本。マルクス経済学に立脚している本かな。

途中奴隷とサラリーマンは何が違うのかっていう話が出てきたがそこは非常に勉強になった。自分の中で社畜っていう言葉の定義がはっきりした(TODO:草を生やす)。

ProductName サラリーマンだから貧乏ですが、なにか?
大村 あつし
PHP研究所 / 1365円 ( 2009-12-22 )


  • 労働には二面性があるので、これは商品である。
  • 貨幣は商品ではない
  • 商品の価値は消費すれば目減りする
  • 労働力の使用目的を消費することが労働
  • サラリーマンは「労働力の回復」のために給料を得ているにすぎない

最後、サラリーマンという生き方は幸せかどうかに触れているけど、無難なオチで終わっている。資本主義はいずれ終焉を迎えて新しい社会が来るだろうという話にはなっていて、参考書籍にネクスト・ソサエティが挙げられていた。

研究所などで流行りの、オープンイノベーションとか社内ベンチャーのことなどもあわせて考えると、資本の価値が知識(資本)に移りつつ、有能な人材はマイクロな知識資本家として振る舞っていくのかな?と思う。商品としての知識労働から属人性が離されて剰余価値は生み出しにくくなっていくんだろうなと思う。

そういう自分の為に働くという生き方のほうが好きだな、と最近強く思う。

おまけの話

製薬業界にもXX駆動開発って有効だと思っている(というか、メガファーマでは実践されているらしい)が、その手段に名前が付かないのでなかなか認知されない。プロジェクトなんて典型的なTDDだし、プロジェクトはいつもデスマってんのにその状況に名前がつかないから、アジャイルへの渇望もない。

突き詰めていけばDDDこそが重要だと思ったりするんだけど、研究者の思考がマーケットインじゃなくてプロダクトアウトだからまぁ難しいなぁと思っている。

正社員は危ないという話

65歳まで定年引き上げが議論されてるってことは、僕らの時代には70近くまでいくんじゃないかなぁ。そもそもリタイアメントできるっていう保証があるからサラリーマンに意味があるわけであって、死ぬまで働き続けるのを前提でサラリーマンを選択するってのは超ハイリスクだよなと思う。

この本は、ファクトをつかむにはいいけど、基本的に如何に雇用されるかということに論点をおいているので処方箋としてはいまいちかな。サラリーパーソンとして勝ち残るためにどういう努力が必要かなぁと知りたい場合には読めばなんか得るものはあると思う。

ProductName 正社員は危ない! "リストラなう"を生き抜く方法
尾方 僚
朝日新聞出版 / 1470円 ( 2010-10-07 )


  • 転職マーケットでは、管理職といえども実務経験が重視される
  • 建前では「能力次第で、若い人に仕事を任せる」といいながらも、組織の実態は年功序列を中心にすえた力学で動いている
  • 本来会社に入ることはキャリアのスタート
  • ポジションよりもロールを求めて転職する
  • 今の会社を離れるということについてネガティブなコメントはいっさいしてはいけない
  • 出る杭になる
  • いま辞めさせられても一年はゆとりをもって暮らせるマネーを用意しておく