ニューノーマル

ニューノーマルを化学反応のコンテクストで考えれば遷移状態を経て、より安定な生成物に移行することかなと。まぁそもそも反応系には戻らんだろうと思うので、環境の変化に即した形で生活様式が変わるのはまぁ普通かなと。

変化が激しいってことがこういう認識になるのかな。

あと、これはそうだと思うなぁ。強く感じる

ニューノーマルでは、企業に雇われることと自営の境目は急速に消えつつある

オールドノーマルでは、「タコつぼ」で身をかがめていれば、温情主義の上司があなたを引っ張り上げ、現在の仕事を一生のキャリアへと転換する軌道に乗せてもらえた。

後半は投資色が強くなっていたので斜め読みしただけ。前半が面白い。

ProductName ニューノーマル―リスク社会の勝者の法則
ロジャー マクナミー
東洋経済新報社 / 1995円 ( 2008-09 )


  • 最も重要なメディア製作者は自分自身である
  • メディアはいたるところにある
  • 北京語の重要性が今後高まる
  • グローバル化は海に生きるメリットを魚に議論させるようなもの
  • 大企業が雇用を保証していない現在、起業は選択可能な代案

企業が分析力を駆使するようになるためには五段階の成長過程が考えられる

分析を活用すれば質の高い決定とよりよいパフォーマンスにつながる。本書では組織が分析をうまく活用できるための重要な5要素を、その頭文字をとってDELTAと表現している。DELTAとはつまり

  • D: データ
  • E: エンタープライズ
  • L: リーダーシップ
  • T: ターゲット
  • A: アナリスト

である。さらにそれぞれの要素について5段階の成長ロードマップを提示している。

  1. 分析力に劣る。データ、スキル、経営陣の関与など分析の必須条件が一つ以上欠けている
  2. 限定的。統一が取れていない、戦略ターゲットが絞り込まれていない
  3. 組織的な強化に取り組む。プロジェクトは発足するがDELTAのいずれかの要素で躓く
  4. 分析力を備えている。それなりの成果をあげるが、競争優位には至っていない
  5. 分析力を武器にする企業になっている

自分が創薬研究所での経験によれば、頑張った結果ステージ3くらいまでしかいかなかったので、ボトムアップ的なアプローチだとここらへんが限界かなと。統一が取られるような組織になるにはさらなる経営陣の積極的な関与が必須だと思うし、情報システム部とは別のスキルセットを持った分析系のチームがいないと難しいと思う。結局突き抜けるためにはDELTAのLが最も重要なんじゃないかなと思う。

個人的には、データをいつでも分析できる状態にしておくことは極めて重要であると考えていたので、研究所全体でそういった環境を維持することに関わってきたと。で、そういう環境になってログ分析してみると、分析する人はまぁ2割もいないですね。思うに分析に関する教育が足りないんだろうなぁと思っている。(実際に信頼性区間を観測値のmin-maxだって強固に主張していた薬理系のマネジメントもいたし、どんだけ異界やねんとげんなりさせられたこともありました。)

という理由で、DELTAにAが入っていることが非常に納得で、特に日本の企業はアナリストというジョブをもっと優遇して最大限活用しないといけないんじゃないかなぁと思ったりする。大体製薬企業で分析者の求人とかないからね。

というわけで、LとAさえあればData,Enterprize,Targetはなんとかなるんじゃないかなぁというのが私の意見。

すっきりとまとまっていて分かりやすい内容の本だった。どっちかというと組織戦略をどうするかっていう内容で、現場に分析力をどうやって持たすかな?という内容ではないけど、全体を見渡すには中々良いですね。

ProductName 分析力を駆使する企業 発展の五段階
トーマス・H・ダベンポート
日経BP社 / 2310円 ( 2011-05-26 )


  • 他社が持っていないようなデータを収集し活用するにはどうしたらいいか
  • マスターデータ・マネジメント(MDM)
  • データをいつでも分析できる状態にしておくことは極めて重要である
  • IT部門の役割とは
  • 意思決定とはデータと分析に基づいて下すものだ
  • 現在の動向をまねしても遅れをとらないだけなので差異化を図る機会を発見しないといけない
  • 計測できるものは何でも計測する
  • 分析に精通し、かつビジネス感覚にも長けた人材を採用し、定着する条件を整える
  • 分析の究極の目的はよい意思決定である

チェックリストの重要性

書評サイトに「一気に読み終えた」とか書いてあって、「ビジネス本なのに一気に読み終えるとかどういうこと?」とか思ったのだが、How Toな内容でなくて、体験談みたいな内容だったので確かに一気に読み終えた。

逆に言うとHow Toじゃないので、自分の仕事に活かすにはよくよく考えないとダメですな。

チェックリストというものはルーチンワークを確実にこなすための手段だと思っていたのだが、コミュニケーション活性化の手段として使えるという話にはちょっと感動した。

建設業界では現場に確実にコミュニケーションを取らせるためのチェックリストを導入することで予想外の困難にも確実に対処するようにしているらしい。

現状把握とコミュニケーションの円熟化こそが、ここ数十年の建築の最大の進歩だ

つまり、作業とコミュニケーションの両方をチェックすることで複雑性に対応していくわけですな。

新しい働き方

煽り度高めだけど、割と遠くない未来から振り返ってみると本書の内容は正しいんだろうなぁと思える。オープンイノベーションだって突き詰めていけば技術をもったベンチャーではなく、独自の才能をもった個人に行き着くわけで。均質な労働力を抱えるというビジネスモデルにロックされた今の企業は崩壊していくんだろうなぁと思うわけです(自分のいる業界も含めて)。

ProductName 「新しい働き方」ができる人の時代
セス・ゴーディン
三笠書房 / 1470円 ( 2011-07-01 )


マルクスによれば無産階級(労働者)と有産階級(資本家)に分けられるのだけど、最近は無産階級の人も生産手段を持つようになった(知識資本)わけで、最近だと信用それ自体が資本(ウッフィー)だという考え方もあるようですな。

結局、資本とは何か(今後は何になるのか?)ということを考えながらその資本を効率よく増やすということを考えないといけないよなぁと思ったのであった。

  • 今は固定費を抱えた組織に頼むよりも、柔軟に動ける個人とつながれるほうがよほどスピーディに仕事が動く
  • 近年、仕事のあり方は「小さな貢献」と「細分化」という考え方で変わってきた
  • 学校は「教えるべきことを教える」だけ
  • 現在、大きな価値を持っているのは、知識に基づいて優れた判断が出来る人
  • 平凡な人ができるような仕事に興味を持たない
  • 情熱を持っている人が対象を見出す
  • 必死に働いたかどうかではなく、どんな価値を生み出して、どれだけ人に伝えられたか
  • 創作物は、形になって人に届いた時点で価値が生じる
  • 人の3つの状態「わからない、行動、完了」
  • 実行はさらなる実行につながる
  • 上に立つ人間がチームワークという言葉を口にするときには、要するに「いわれたとおりにやれ!」といっているのと同じ
  • 想像性を発揮しよう

おまけ

経営者の条件とは?

今日は通院の日だったので、病院の待ち時間で本を2冊読んだ。一冊はwork3.0ですぐ読み終えた。

もう一冊は読みかけだったドラッカー。7章の成果をあげる意思決定とはが一番深く心に残った。

意思決定とは「かなり正しいものとおそらく間違っているであろうものからの選択」であり、事実ではなく意見からスタートする。ただしそれは事実による検証を求めなければならない。創薬研究でも検証できない仮説をスタートにおくヒトは多いですね。経験的にそういう場合はまず間違いなくデスマる。

もう一点は意見の不一致を歓迎しない傾向がある。叩くだけ叩いておけばいいのにと常々思うんだけど。本書ではこのような不一致は想像力を刺激するので良いとしている。不一致こそ想像力を出すためのひねるべき栓だと。

ProductName ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社 / 1890円 ( 2006-11-10 )


  • 何をしたいかではなく、なされるべきことを考える習慣を身につける
  • 人事がうまく行かなかった場合には、単に人事が間違っただけ
  • 会議には、成果をあげるものとあげないものの二つに一つしかない
  • 趨勢よりも趨勢の変化が重要
  • 成果をあげる人のタイプなどというものは存在しない
  • 何に自分の時間が取られているかを知ることは重要
  • 貢献に焦点を合わせよう(特に知識労働者)
  • 知識労働者は自らが自らに課す要求に応じて成長する
  • 強みを知ろう
  • 意思決定はエグゼクティブの仕事の一つにすぎない

対話とは何か?

筆者のバックグラウンドは外務省の大使館勤務だったそうで、そういった経験から語られる対話の本質については非常に面白かった。

価値観や信条が異なり相入れることはないというのが前提で、相手を否定せずに妥協点を目指して摺りあわせていくプロセスが対話。

ビジネス本にありがちなタイトルと内容があんまり一致しないけど中身は面白かったので、興味があれば読んでみるといいと思いますね。特に日頃サイエンティフィックな議論をしているヒトこそ対話を重視すべきかなと最近思うこともあった。

ビジネスシーンだとアサーティブな態度とかもセットだな。

ProductName 不都合な相手と話す技術 ―フィンランド式「対話力」入門
北川 達夫
東洋経済新報社 / 1680円 ( 2010-09-23 )


  • 相手のことはわからない。わからないから話す。その前提の下で「どうすることが自分の身のためか」を考えて行動する
  • 国際コミュニケーションは「相手のことはわからない」という前提で成り立っている
  • 合意はまず価値観のレベルで考え、次に発想のレベルで考え、最後に主張のレベルで考える
  • 多数決は対話の観点からすると、多数派による強制となり(必ずしもよい解決策とは成り得ない)
  • 前提や結論そのものは論理的にも非論理的にも成り得ない
  • 対話とは戦わないコミュニケーション
  • 「何を問題とするか」は個人の価値観や知識や経験に大きく依存している
  • エンパシーとシンパシー
  • 「みんな」という基準を持ち出すのは対話的な態度ではない
  • ミクロのなぜ?とマクロのなぜ?

明日から部下にイライラしなくなる本

部下いないけど。

テクニカルな内容を期待してたけど、ごく普通のよい上司を目指しましょう的な内容だった。

  • 部下への苛立ちのほとんどは相手の考え、状況が見えないことに起因します
  • 価値観の相違と捉えて「この部署ではこうだから」という論理で話す
  • 大事でないことを大事であることと同様には指示しない

インド人完全無視カレーのインド人の気分を味わった

インド人完全無視カレーっていうものがありまして、腹を抱えて笑いながらあのインド人の立場だったらどういう気分なんだろなーと思ったことがありましたが、実際に自分が似たようなシチュエーションに遭遇するとは。

結果としてそうなったというか、誰にも悪意はないのはわかるんだけど、結果不義理というか、完全に無視された結果になったというのは初めてだった。自分はチョコチョコ不満を言えば、まぁいいかなーと思って切り替えるほうなんだけど、これはさすがに無理ですな。

ProductName カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック
柴田書店
柴田書店 / 2625円 ( 2007-08-01 )


巻き込み術に必要なのは、ホスピタリティと熱い思い、そしてヒトを大切にする

標題の通り。本から情熱が伝わってきます。自分ブランドの教科書よりはこっちのほうが読んでて面白かった。

ProductName 藤巻流 実践・巻き込み術
藤巻 幸夫
講談社 / 1470円 ( 2009-04-21 )


  • 笑顔というのは大切なコミュニケーションの手段でありホスピタリティの一つである
  • 価値基準を他人の評価に委ねない
  • テンションを跳ね上げて熱を共有するのは巻き込み術
  • 積極性がないとヒトは巻き込めない
  • 精読は必要
  • スローとホスピタリティ
  • 宗名臣言行録

さて、巻き込み術のはなしで面白いのはもう一冊あると思うのです。

コグレマサトさんの「マキコミの技術」ですね。

ProductName マキコミの技術
コグレマサト
インプレスジャパン / 1575円 ( 2010-12-17 )


巻き込み技術にはヒトを巻き込むので、ホスピタリティの重要性は同じ方向を向いているのだと思うのだけど、前者は強いネットワークを想定しているのに対して、こっちは弱い紐帯的な感じを受けるわけです。それはソーシャル・ネットワークサービスをうまく使っているとかそんなところにあるのかなぁと。継続して情報を出していると、それなりにひととなりや、何を成したいのかはなんとなく共有されてくるので熱い思いをぶつけなくても方向性の共有がしやすいってのもあんのかなぁ。

藤巻さんのやり方は自分自身を仲介としてエッジが対称な強い関係性を構築しているのに対し、小暮さんのほうはなんとなくしなやかさを感じるんだよなぁ。

あとでもう一回読み返してみようっと。

5つの、シンプルでありながら複雑かつ意味深い問い

サラリーマン研究者は資本主義社会においては労働力というサービスを提供する商品にすぎないが、一方で知識資本社会においては、自分で自分の知識資本をもとに経営する一種の経営者である。

つまり我々は知識資本の経営者としてドラッカーの5つの問いかけに答えなければならない。

  1. われわれのミッションは何か?
  2. われわれの顧客は誰か?
  3. 顧客にとっての価値は何か?
  4. われわれにとっての成果は何か?
  5. われわれの計画はなにか?

ProductName 経営者に贈る5つの質問
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社 / 1575円 ( 2009-02-20 )


  • 計画とはその都度のものではない。うまくいくものを強化し、うまくいかないものを廃棄していくという連続したプロセス
  • 組織には二種類の顧客がいる。活動対象としての顧客とパートナーとしての顧客
  • どれだけ利益をあげたかよりも、どれだけ大事な顧客をつかんだかのほうが大切
  • 計画とはゴールをアクションプランに翻訳するものである