意思決定は技術ですね。この本は結構面白かったので創薬の場合で考えてみた。
意思決定には、おかしなパラドックスがある。誰でも意思決定の重要性については理解しているが、それでも意思決定のトレーニングをする人は極めて少ない。
本書は特に意思決定の際にはまりがちな落とし穴を8つ紹介している
思考モデルとはなんなのか?
モデラーの間にはよく知られた格言がありますね、正しいモデルなんて存在しない、十分に表現できるモデルが得られただけだみたいな(正確なのは忘れた)。
思考モデルとは、外の世界の現実を自分の内側に描写したものである。細部よりもその情報が素早く自分に到達することを重視した、不完全な描写と言ってもいいだろう。
例えば芳香環を共鳴による電荷移動だけしか知らなくて電子雲のイメージを持てないとかそんな感じ。モデルの限界わかってないと、ハマることは多い。
帰納法的に考えてしまう問題は、要は限られた情報をもとに未来を予測してしまうことだ。
これはQSAR,QSPRの抱える本質的な問題ですね。構造XX相関は、知っていることの範囲でしか答えることができないし、どこまでいっても相関であって因果関係とは異なる。
ストレス反応があると短期的に特になることを追求できるが、長期的に何がいいのかを考えられないのだ。これが、トンネルビジョンになる原因の一つだ
プロジェクトでミクロな視点しかできないのは本人の資質かなと思っていたけど、環境要因も後押ししてるのかもしれない。短期成果は見えやすいのでプロジェクトリーダーにあがりやすいんだけど、こういう人がなるとプロジェクトが迷走しやすい(経験的に)
専門家の意見を鵜呑みにしない
物事を予測する際に、人間がアルゴリズムを上回る結果を出すような分野を見つけるのは不可能
直感がうまく機能するのは安定した環境下なので、複雑な状態では重要性としては低い
- 専門家は、その分野のパターンを認識している
- 専門家は、初心者よりも素早く問題を解決する
- 専門家は、初心者よりも奥深くまで問題を掘り下げて考えることができる
- 専門家が提示する問題解決方法は、初心者のそれよりクオリティが高い
正解は時と場合による
理論構築をする過程では、仮説が実データと合っているかを研究社が検証し、その中で出てくる例外(アノマリー)を見つけ、さらに理論を研ぎ澄ましていくのだ
深く考えて本質を捉えるということですね。特にその際に相関関係と因果関係は違うということをきちんと理解することが重要。
lead optimizationするときには大抵logPとかPSAの相関からそういったパラメータの上げ下げで問題を解決するストーリーにしたがるけど、それってメカニズム的に説明がつくの?っていうことを常に問いかける癖をつけておくとよいですね。
突然大規模な変化に見舞われることもある
所謂ブラック・スワンですね。
ハロー効果に注意する
平均回帰性から、運により大きな成果をあげた人は次も同じくらい大きな成果をあげるとは限らない。結果よりもプロセスを重視するということは、そういった運の要素を見極めながら実力を評価するということなのでしょう。
まぁ、でも企業は結果を評価してプロセスなんて後付ですよね。頑張ったから結果がついてきたという言葉に現れているような気がする。