XXの知識ゼロ人間にXXが説明できるか選手権

会社帰りの電車の中で何気なく「お笑い知識ゼロ人間に笑いが説明できるか選手権」というコンテンツが目についたので見ていたら、結構人が乗っていたにも関わらず、吹き出してしまった。

お笑いだけでなく、最先端の技術とかを知識のないステークホルダーに説明しないといけないときによく起こりがちだなぁと。特に二人目の芸人のように千日手模様になったときに打開を目指さなきゃならんのは説明する側だよなぁと認識した次第。

で、研究者が自身の高度な分析手法や専門的な知識を素人に説明するときに、暗黙知が邪魔をして、平易な説明のつもりが厳密な記述にはしった結果、余計わからない説明になるというのはあるあるなのですが、GPT-4Google Geminiがこの点をある程度解消してくれるので最近は便利になったなぁと感じます。

暗算の代わりに電卓を使う感覚で文章の計算ができるので非常に快適ですね。

最近読んだ本

コンサルにオーセンティックリーダーシップについて学ぶことを勧められたけど、ちょうどいい本が見つからなかったのでザッピング的に色々読んでみた。

昭和感満載だがそうよねーと納得する部分も多い

  • 部下がこうだからつかえないというのは、使おうとする努力を怠っている言い訳に過ぎない
  • 影で部下の悪口は言わない、言わせない
  • 会社の将来を作り出すのは技術開発部門
  • 人を動かす秘訣は麦踏みと同じ要領
  • 「歩」を「と金」するとう強い意志

あまり参考にならなかった

  • 「状況を変えること」がリーダーが果たすべきこと
  • 「らしさ」は周りが評価する

  • 「既存戦略の長所と短所」「短期的にみた最大の課題と機会」「中期では」「より効果的な経営資源」「自分の立場だったら何を優先するか」
  • 一人の作家を真似るのは盗用だが、多数の作家を真似るのは研究
  • 上司は「聞くタイプ」と「読むタイプ」の2通り

Looking Back on 2023 and New Year Resolution

あけましておめでとうございます、今年も良い一年でありますように。

元旦にエントリをアップしようと思っていたのだけど、おせち作りに夢中になったり、久々に日本酒を飲みまくったりしてこの数日はダラダラすごしてしまいました。

去年を振り返って見るに、マネジメントとしてはまぁ及第点かなぁと思います。実際組織アセスメントみたいなスコアは大幅に改善したので役割を果たしたかなぁと。一方で360度評価は悪くはないけどあまり納得のいく結果じゃなかったのでちょっと凹みはしたけど、「仲良しクラブを目指したいわけじゃないからなぁ、難しいですねー」といった感じ。 研究に関していうと、フロンティア軌道を考慮したフィンガープリントを思いついて春くらいには実装できたはずなのに忙しさにかまけて放置したせいで、11月の構造活性相関シンポの締め切り間近に実装したので、今年はもう少しコーディングの頻度をあげなければならんなと思いました。

あとはちょうど節目の年だということもあって、人事の研修があり(この会社の研修制度は外部の使い方も含めて非常に質が高いのでそこは大変気に入っています)、残りの人生についても少し考えさせられましたが、まぁ私としては頑張るしかないので、「どこでも楽しく頑張るだけ」かなぁと思います。

私は、「WORK」の

わたしたちは、自分の能力そのものに忠誠を尽くすのだ。自分の仕事と、その仕事を尊重し励ましてくれる職場に、忠誠を尽くすのである。

という一節が大変に気に入っていて、部の皆さんに年末年始に暇だったら読むことを勧めたのだけど、何人か読んでくれると嬉しいなぁと思います。

ProductName 仕事と幸福、そして人生について
ディスカヴァー・トゥエンティワン / ¥1,760 (2009-02-18)

ここからは年末年始に考えていたことです。

心理的安全性の確保問題

昨今話題の心理的安全性ですが、これはバランス論だと考えています。結局は受け手側の許容度の問題なので、受け手側がタフであればあるほど、タフな問題に取り組めるというだけのことかなぁと。自分は常々部下の人に「いつでも転職できるという(スキルセット、社外認知度を身に着けた状態で)、今の職場で全力を尽くしてほしい」と話しています。そうしないと、職階の壁って取り払いにくいよなぁと思っているし、ストレッチした目標(SOTAを超えるとか)に取り組むには必須だと考えているからですね。

そのあたりを無視して、レベルの低い人にコンフォートゾーンを揃えるのは負のサイクルを回すことになるので、流石に企業はそれはやらないと思います。で、最近の叱らない(褒めるだけ)のマネジメントと組み合わされると、褒められているのに退場させられる人が増えてくるのかなと思います。結局、「褒められてない部分は要改善やぞ」っていう暗黙のメッセージを受け取れるかどうかが重要になってくるので、そのあたり理解していない人は「?」って言う間に退場するのではないでしょうか?

個人的には残酷なマネジメントだなぁと思いますが、叱られたくない人が多いので仕方ないのかなぁと考えています。逆にそういうあたりに真摯に向き合って「そこはだめなところやぞ」って指摘すると360度評価で削られるのでどうなんやろねーって悩んでいる管理者は多いんじゃないかなぁとw

難しいですね、、、

成果のグラデーション、無邪気と確実性

研究職は不確実性を含むのでうまくいくことを信じてプロジェクトを遂行します。現場の人は無邪気にサイエンスをすればいいのですが、経営に近づくに従ってビジネスとして成立させることが求められます。

このグラデーションというかマインドセットチェンジが意外と難しいもんだなぁと感じます。

具体的に言うと管理職階が上がるにつれて、不確実性を織り込んだ確実な計画遂行が求められるようになります。極端な例を上げれば「サイエンティフィックな判断に基づき、すべてのプロジェクトを早期に終了しました」は現場の研究者としては駄目なプロジェクトを迅速にたたんだとして褒められるべきではありますが、マネジメントとしてはビジネスを先に進められなかったという責任を負う必要があります。

ビジネス側に立てば「なんで予定通りに行かないんだ?」ってなりますし、研究側にたてば「予定にないトラブルが起きるのが研究なのに?」ってなるのでそのあたりを両立させるのが難しいなぁと思っています。

どっちが強いのかは企業文化なんだろうなぁと思いますけど、自分としては研究者の幸福度を最大化するようなマネジメントを目指したいかなぁと思っています。

フロンティア分子軌道論(FMO)とフラグメント分子軌道法(FMO)

11月に発表したときに、本書をお薦めされたので買って読んでました(訳者に知り合いがちょいちょい入っている)。

役に立ったのは6章の密度汎関数法と16章の定性的理論です。この2つの賞を読むだけでも20K円の価値はあると思いました。

分子の量子力学的視点は負電荷を持つ電子雲によって囲まれた正電荷を持つ原子核という視点に基づいているが、化学における分子は、いまだに 「結合」によってまとまった「原子」群として定式化されている。

古典力学の枠組みでは説明できない現象を説明するモデルとして量子力学が発展したのに、AI的視点で分子をグラフとして扱いGNNで伝播させるとうまくいくのでは的なアプローチに立つのはどうなんでしょうねぇと思っているので、私的には量子化学的な視点からDL/MLを利用したほうが筋が良いんじゃないかなぁと感じています。まぁきちんと証明しろよってことなのですが、、、

ProductName 計算化学(第3版)
森北出版 / ¥19,800 (2023-03-24)

  • 電子数に対するエネルギーの2階微分はハードネス
  • 局所的な求電子性は、ωと対応するFukui関数を掛けることによって得られる。これらの概念は、HSAB原理における重要な役割を担っている
  • hard-hard相互作用は主に電荷支配で、soft-soft相互作用は軌道支配

FMOで考えてみると

Fragment Molecular Orbitalを活用してSBDDをやっていると、リガンドとタンパク質の結合乖離過程は始状態と終状態の変わらない化学反応と捉えることができることが直感的に理解できるかと思います(実際反応する場合はCovalent inhibitorと呼ばれる特殊な状態かと思います)。

となると、「リガンドとタンパク質の化学反応はHSAB原理においてはなんなのだろう?」という疑問が湧いてきます。FMOではタンパク質をアミノ酸というフラグメントに分解できるから、「各アミノ酸の側鎖はhard-hard相互作用, soft-soft相互作用のどちらを担うのだろうか?」とか、そうなるとHSABルールって大域的ではなくて局所的な概念なのかなぁ?と悩み始めます。

そもそもPIEDAがKitaura-Morokuma AnalysisのFMOへの拡張だからなんかそうなんだろうなぁとは思うんだけど、今度偉い人たちにあったら聞いてみようと思いました。

忘年会シーズンですね

なんとなく、忘年会が続いております。

昨日は部の忘年会で大変楽しく過ごさせていただきました。皆さんの楽しそうな忘年会を見ているとマネジメントも悪くないなと思いました。後は成果をバシバシ出していければ言う事なしですねと。

今日も馬車道忘年会でした。辞めた人とか異動した人が誘ってくれる忘年会もまた感慨深いものがありますね。思い返してみると辞めた人から飲みに誘われることは多いかなと思います。

人と人のつながりのうちのすごーく狭義のつながりが会社という形態なのかなーと私は捉えていて、会社にコミットするより大切なことは他にあるんだろうなぁと漠然と考えた一日でした。

前向き質問をうまく活用しよう

私は論文はめっちゃ批判的に読む派ではありますが、最近の価値観のアップデートの結果、サイエンティフィックな質問は「なんでうまくいかんの? => どうすればうまくいくと思いますか?」のように前向きにしようと心がけてるようになりました。

で、マネジメント≒ヒューマンサイエンスと捉えている私にとっては、マネジメントでも前向き質問を心がけないとあかんよなーと気付かされて、上司が薦めていた本を読んでいます。サイエンティフィックな議論では自分を切り離して議論することは容易なのに、マネジメントというサイエンスの対象が人になると主観的な部分がどうしても入ってくるし色々難しいなぁと感じている今日このごろです。

  • 正しい答えを知っていることと、知ったかぶりと受け取られることは、紙一重だ
  • 両者が批判する人になっているときは、最初に気づいたほうが優位に立つ
  • 質問はつねに人の注意を方向づけている
  • 「学ぶ人」の環境をつくる

最近参加した学会など

Mishima.syk #20, 第51回構造活性相関シンポジウム, 8th Autumn School of Chemoinformatics in Naraに参加しました。

Mishima.syk #20

  • LLM, ChatGPTの話が面白かった。
  • tweetできる内容を選んでいるつもりだったが、「それ黒に近いグレーじゃないの」という総ツッコミを食らったのでちょっと悔改めた。懇親会は大変楽しかった。

第51回構造活性相関シンポジウム

  • H先生に久しぶりに会えて色々と情報交換できた。
  • 凪でラーメンを食べるだけであった
  • 渋谷は3,4年ぶりだった

8th Autumn School of Chemoinformatics in Nara

  • よりワークショップに近い感じになっていてよかった
  • 奈良の夜は早く、朝もは早いということを実感した。ホテルの清掃準備早すぎ
  • @iwatobipenに倣って朝走ってみた(続ける)
  • 懇親会の日本酒と二次会の日本酒を堪能した。美味しい料理は重要
  • 色々と重要な情報をゲットできたので満足

会議の生産性をあげよう

会議が多すぎるとか、会議時間が長いとかそういうのをどうにかする施策を上層部に打って欲しいみたいな質問があって、「あほくさ」みたいな顔してたら、ファシリテーターから突然コメント求められてしょうもないコメントしてしまったので、なんかリカバリーしておこうかなぁと思ったけど、そんなことしてもそんな質問する時点で実践できるかどうかわからんしなぁと思ったのでこっちに書いておくことにします。

多すぎる会議を減らすために

「会議に出ない」これに尽きます。具体的にはこのあたりは出ません。

  • アジェンダのない会議には出ない(どうせ何も決まらない)
  • 報告だけの会議には出ない(何も決まらない)
  • 自分がいなくても結論が出る会議には出ない(いなくても決まる)
  • 質問しなくても良い会議も基本出ません。出席したという事実を求められる場合はオンライン参加でカメラオフにして別の仕事をしていることが多いです。

あとは勉強も兼ねてオブザーバーとして参加したい参加させたいっていうのも無駄かなと思います。勉強で参加するならアホな質問でもいいから必ず一つは質問してくださいって思いますね。

会議時間を減らすために

会議は議論から始まって、すべてのアジェンダに結論がついたら時間内であっても即終了するのが理想的なので、できるだけその状態に近づくようには心がけています。

  • 会議は事前に資料を配ってもらうようにして、少なくとも目を通して臨みます。内容が理解できて説明が不要の場合はそのまま議論だけするようにしています(なかなか難しいですが)
  • 非同期の議論(チャットとか)をできるだけしておいて、最後会議で決めないと決まらないもののみ議題としてあげるようには心がけています。
  • 議事録は会議をしながら取るようにしています。最後のラップアップでみんなで確認してフィックスすれば終了なので議事録チェックという余計な時間を減らせますし、すぐに議事録を会議に出てない人と共有できるので生産的だと思います。

コンテンツの粒度が大きくなると会議参加者が理解するためのオーバーヘッドが大きくなるので細かい粒度で会議をすれば良いのだろうけど、そのあたりは難しいなぁと感じています。週2くらいで短いスタンドアップミーティングやるのが効果的かなぁと思ったりしますが。

会議の生産性はみんなで工夫して上げていかないといけないことだよねぇと思っているので受け身の姿勢ではなく楽しみながら試行錯誤してほしいなぁと思っています。

CBI2023に参加しました

参加された方、オーガナイザーの方、裏方の方大変お疲れ様でした。今年はサイトの構成から、プログラムの組み方もより良い方向に変更されて満足度の高い年会になったなぁと個人的に感じました。

  • ハンズオンが充実した
  • year in review (大変良かったのでうちの部署でもやろうと思いました)
  • オフィシャルハッシュタグ (隠れてないtwitterユーザーが少なかった、隠れは多いw)
  • Elix Cafe (美味しいコーヒーは正義)
  • 製薬企業のポスター発表がやたら多かった (うちは今年出してない、、、)

このあたりは良かったなぁと思いました。

一方で、演題がちょっとFMOに偏りすぎに思いましたというか、FMO関連のできの良いポスターは国際学会に出してFMOの国際的な認知度を上げればいいのにと思いました。

まぁそんな感じで来年は私もなにかポスターを出さないとあかんなぁという気持ちになりました。

導入の部署へのリソース投入ってi.v.みたいなもんじゃないのかね?って昔から思っている

みたいな話を書こうとおもっていたのだけどうまくまとまりきらないので駄文のまま(いつも駄文だけどw)

研究者の知識なんて研究から離れた瞬間から指数関数的に衰えていくので、トラフの部分がいわゆる「目利き力」になるのだと思います。むちゃくちゃ優秀だったり1を聞いて10を理解できるような人は下げ止まったとしても現役の優秀層くらいのレベルでサイエンス語れるので、導入ビジネスに舵を切ったとしても問題ないのかもしれないけど。

そして、導入の部署に人材投入するためには、そういう人材を排出するためのファンクションである研究体制が必要だから導入ビジネスのためには研究所が必須なんじゃないのかねぇと思っている。

なので、自社創薬なしで導入一本で勝負するのは持続可能性に問題を抱えているんじゃないのかなぁと。