アンディ先生と私(トヨタのカイゼンの話)

最近、生産効率のカイゼンに取り組んでいるのでこういったあたりを勉強している。

無駄な仕事を省く。そしてより価値のある仕事に就かせる

労働者目線だったらこれはいいのかもしれないが(研究者でこういう受け身なのはダメだろうなと思いつつも)、まぁ新しいことをやるのは面白いので楽しく取り組んでいる。

ProductName アンディ先生と私―トヨタが私に教えてくれたこと
パスカル デニス
センゲージラーニング / 1575円 ( 2007-12 )


本書を読んでいてカンバン方式ってものがよくわかった。これは結局プルじゃないかと。

創薬系だと、合成した化合物は後ろの工程にプッシュ式に送るのが普通だ(動態試験とか、薬理試験) これをプル方式で考えなおすっていうのは面白いかもしれない。

そういう試験系のフローは「依頼書」という形でプッシュしていくんだけど、そうすると依頼される側は依頼されたことしかやらないというカルチャーが根付いてしまい、官僚化、保守化するんだよね。うちの部署も完璧にそんな感じで、インフラ構築しなきゃいけないのはずなのに依頼されてないからやってないとかそういう発言するのをなんとかしたいんだけど、なかなか難しいよね。

サラリーマンが“やってはいけない”90のリスト

ネガティブ視点から入っていく。やるべきことをやれじゃなく、やらないべきことは何かを語ってる本。40代の会社にしがみつきたいヒトには参考になる本なのかな?

逆にそういうヒトの思考をちょっと知るにはいい本。まぁ一緒に仕事したくないけど。

部下が報告しないのは、報告の意義を知らないとか、怠慢といった意識の問題ではなく、保身を目的とした意図的な情報隠し、すなわち「情報の私物化」だからである

こんな感じのちょっとネガティブめなのがひたすら書いてある。

ProductName サラリーマンが“やってはいけない”90のリスト
福田秀人
ぱる出版 / 1470円 ( 2012-02-01 )


  • スポーツや音楽の分野で第一級のプロで構成されたグループの事例をもとにしたアンチ管理論やリーダー論に惑わされてはいけない
  • 成果主義は本質的に経営者の経営責任や経営リスクを社員に転嫁する制度でもある
  • 真面目さを一度失えば回復が難しく、成果主義で会社がつぶれた後の転職が難しくなる

著者は成果主義嫌いなんだろうなー(僕もだけど)

「ビジョナリー・カンパニー」を読んだ

金メダルのチームを銀、銅メダルのチームと比較して抜きん出た特徴を明らかにする。既に古典に近いが色褪せないのが古典のいいところですね。

ビジョナリー・カンパニーをつくるための概念を要約するとこんな感じ

  1. 時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ
  2. 「ANDの才能」を重視しよう
  3. 基本理念を維持し、進歩を促す
  4. 一貫性を追求しよう

ProductName ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社 / 2039円 ( 1995-09 )


  • 会社を究極の作品と見るのは、きわめて大きな発想の転換である
  • Big Hairy Audacious Goals (BHAG)
  • いいアイデアであれば採用したい。そうでない場合でもそれが現実的でないと証明できれば一種の保険になり

トピックブランチ的にワーキンググループを使う弊害

最近(というかここ2,3年くらい)今の職場で、新しい挑戦はセクションの壁を超えてトピックブランチ的にワーキンググループを作って自主的に議論して上に提案するというスタイルが普通になった。

これはやる気がある人が積極的に議論に加わるので、調子がいいし議論も生産的で楽しい。

が、あるワーキンググループの議論の中で「自分はその(別の)WGに参加してないからコンテクストが理解出来ない」みたいなことを言われたのでちょっと考えてしまった。

トピックブランチは他に影響を与えないで新しいことを試すので、WGも参加者以外には基本的に見えない。だからそういう発言になってしかるべきだし、それはあり方として正しい。一方で全然ワーキンググループに参加しないヒトは振る舞いや思想がメンテナンスブランチのそれに近くなってきているのではないかと。そもそも保守的な考えのヒトが多いからほっといたら保守化するわな、そりゃ。

昔はセクションのトップがそういうヒトにもある程度成長のためのチャレンジを促していたような気がするけど、プロジェクト色が強くなるとどうしても自主的に動けるかどうかが重要視されるよなぁと。

まぁサイエンティストだったら当たり前の感覚だろうけど、企業研究者の8割は単なる労働者でしょ?そういう状況で、こういうやり方が組織論的に正解なのかはよくわからん。

稲盛和夫に会計を学ぶ

簿記3級程度があれば分かりやすく読める。

私の経営哲学の根底にあるのは、「人の心をベースとして経営する」ということである。

一章のバナナの叩き売りを用いた費用と資産の例え話は非常にわかりやすかった。

ProductName 稲盛和夫の実学―経営と会計
稲盛 和夫
日本経済新聞社 / 550円 ( 2000-11-07 )


ちょっと心に刺さった言葉

目標を決めるとき、トップダウンでいくべきか、ボトムアップでいくべきかも問題です。トップダウンですと「与えられたもの」と思われますし、ボトムアップですと、前年の水準から少し上げて持ってくるという程度のことしか考えてくれないということになるものです。

答え:

  • 経営目標はトップの意思

ホウレンソウは暗に指示は明に

「テクノロジーを駆使して、従来のホウレンソウをface-to-faceの同期が必要な作業から引き剥がそうよ、そうすれんば効率が上がるよね」と「イマドキのコミュニケーションは明示的に指示しないとだめだよ」いう内容。

ProductName ホウレンソウはいらない!―ガラパゴス上司にならないための10の法則
本田 直之
日本経済新聞出版社 / 1470円 ( 2011-11-10 )


「繰り返し行われる」ということはパターン化できるということですから、システム化したり仕組み化していくことが可能なわけです。

とあるように、仕組み化されたものをうまく取り入れる能力、仕組み化できる能力があるかないかで、定型業務をこなす効率が全然ちがいますね。

メールベースの問題

  1. 誰に何を振ったか管理しにくい
  2. 進捗状況がわかりにくくチェックできない
  3. スケジュールと連動できないので、忘れるなど抜けをチェックできない

まぁ、ココらへんをどうにかしようと涙ぐましい努力をするわけで、送信メールのコピーを振った人の名前のフォルダで管理してみたりとか、締め切りを設定してみたりとか、件名に進捗状況なんかを入れてみたりとか。それに比べてredmineなんかは快適だと思う。

いちばん非効率なミーティングは、報告やお知らせをするだけのミーティングです。

これも、非常に同意する。face-to-faceのホウレンソウは確かに要らないとおもう。会議は事前に資料配ってアジェンダ決めてあるんだから、質疑から入るのが理想だと思っている。逆にそういう会議の設定形態じゃないと基本的に参加しないルールにしているが、それで困ったことは殆ど無い。

一方で、最近はインフラ構築もやっているので、質疑から始まれるように仕組み化したいと思っている。そのためには報告の粒度をもっと細かく、週単位で報告が自動的に上がるようにする必要があるかなぁと。

できる2割で会社全体を引っ張っていくのはなかなか難しいため、その2割がどちらにも属さない6割の社員をうまく引っ張ってくれるような形にしたほうが効率がいいのです

これは組織依存だよなと思う。上の方の2割をつまんで引っ張ると、その下がついてこれなくてプチンと切れてしまうこともあるし、うまくついてくることもある。一方下の2割を押してボトムをあげようとしてもびくともしないこともあるし、思ったようにレベルが上がることもある。これはトップダウンがうまくいく時も、ボトムアップがいいほうもある。

ただ、どういう時にどういうやり方がうまくいくのは、その時の雰囲気とか、キーパーソンに訴求できるかにかかっているけどじつはよくわからん。キーパーソンもコロコロ変わるからなぁ、意外な人が先導してくれたりするし。だから、うまくいかなかったからとあまり悲観的になりすぎず、折を見て再チャレンジすることにしている。

アイデア創出技術のバイブル

考具の著者の監修だということもあって読んでみたが、名前の通りアイデア出しのためのテクニックバイブルだった。

自分の発想力を運用する

ためのリソースブックですね。

序部はアイデアパーソンになるための11の習慣付けの方法が書いてあり参考になるが、

  • アイデアを収集するためのブレインバンクを作る
  • 素早くメモをとる

っていうのはEvernoteでいいかなと。今はgoogle tasksにひとつメモ用のリストを用意してるんだけど収集には向かない。

ProductName アイデア・バイブル
マイケル・マハルコ
ダイヤモンド社 / 2940円 ( 2012-02-17 )


主に以下のセクションに分けてテクニックをまとめてあるので、自分の能力バランスを考えるときに参考になる。 僕は特に直感的思考を高めるためのテクニックのセクションを、えーナニコレ気持ち悪いと思いながら読んでいたが、読後に改めて自分のバランスを考えると論理的な思考をすることに結構縛られているので、もうちょっと直感を養う訓練をしてもいいのかなと。

  • 左脳(論理的思考)
  • 右脳(直感的思考)
  • 協調(共同作業)

論理的思考を養う

大体ビジネス本に出てるけど、まとまっているのでパラパラめぐって眺めても楽しい。

一つの視点はあらゆる可能性の一つにすぎない

ので代替案を効率的に探索する手法が必要ですね。

  • SCAMPER(オズボーンのチェックリスト)
  • 逆転
  • アイデアボックス
  • マンダラチャート
  • フェニックスチェックリスト
  • ブルートシンク

チェックリスト系のものは本の最終ページにツール集としてまとまっているので便利。

ただし、

言語的な発想法を使いすぎると、自分の発想力が電子レンジで温め直しすぎたコーヒーのようになってしまうことがある。そんなときは、発想法を変えて、想像力を”入れたてのコーヒー”にしておくべきだ。

だそうだ。

直感的思考を養う

部の最初に直感力で問題を解く5つの要素を上げている。

  1. よく知らない問題に、どう取り組むべきかわかる能力
  2. ある分野の問題を、それとは無関係な分野と関連付ける能力
  3. 問題の核心部分を認識する能力
  4. 問題の最終解決をあらかじめ見通す能力
  5. 感覚で解決策がわかる能力

先にも上げたが、このセクションを読んでいて、「あーそうだよね」と「えーこれはどうなの?」というテクニックがあったので、分類してみた。

しっくりくる

  • 青い薔薇
  • ユーリカ!(インキュベーション)
  • 類推する(アナロジー発想法)
  • 論理を超える(パラドックス発想法)
  • 象形文字

しっくりこない

  • もしも話(フィクションストーリー発想法)
  • 夢日記発想法
  • 潜在意識からのメッセージ(ダ・ヴィンチ・スケッチ発想法)
  • 入眠時幻視
  • 幻視の旅(シナリオジャーニー発想法)
  • メンターズトーク発想法

分けてみると、潜在意識に語りかける系のテクニックをあまり重視していないのかもしれない。論理的に物事をすすめていくやり方に縛られすぎてるのかな。これに関してはもう少しゆっくり考えてみる。

協調作業

協調作業は、協調作業をするための人をどう集めるのか?というところに一番高いハードルがあるし、特に職場での仕事の場合チーム構成は与件でありコントロールできない要因なので、基本的に期待はしない。つまり、個人的にはコラボレーションは非常に重要視するけど、依存はしないというスタンス

セクションの中ではアイスブレイクとブレインストーミングの手法に関して説明している。

ProductName 考具 ―考えるための道具、持っていますか?
加藤 昌治
阪急コミュニケーションズ / 1575円 ( 2003-04-04 )


人を動かす

読んだのは文庫版のほうだけど

ゲーミフィケーションが内発的動機づけを促すデザインを考えることであれば、それをface to faceというか人間-人間系のインタラクションの中でうまくやるようなデザインを考えているのが自己啓発系の本だろうなぁと思ったので名著と言われるカーネギーの「人を動かす」を読んでみた。(まぁ読む順番としては逆な気もするが)

内容としては受け手側である方の内発的な動機づけをどう引き出すか?そのためにどう自分をデザインするかという観点で読むと色々発見があって面白いです。

本書を読む前は「馬鹿にむかって馬鹿だと接してナニが悪いんだ?サイエンティフィックに正しければそれでいいだろう」と思っていたが、読後にはそういうやり方はシステムのデザイン方法論としては間違っているかなと思い直した。対人関係ももう少しかんがえようっと。ゲーミフィケーションを使ってシステムを改善しようとしているのに、一番重要な自分っていうインターフェースのデザインが悪かったら結局楽しくないだろうしな。

ProductName 人を動かす 新装版
デール カーネギー
創元社 / 1575円 ( 1999-10-31 )


  • およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない
  • 強い欲求を起こさせる
  • 議論に負けてもその人の意見は変わらない
  • 相手が反対するのは関心があるからで、大いに感謝すべきだ
  • 人にものを教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ
  • 相手が即座にイエスと言える問題を選ぶ
  • 相手に思いつかせる
  • 命令せず意見を求める
  • わずかなことでも惜しみなく褒める

ゲーミフィケーションをどうデザインしていくか?

例えば職場なんかでも新規アイデア募集(インセンティブとして採用された方には図書券)なんてことをやったりするけど、そういう外発的動機付けのやり方だと持続力がないわけですね。

ちょっと前にOSQAを職場に導入してみたんだけど、ユーザーが職場全体の1割にも満たなくて、ちょっと苦戦している。新規登録がめんどくさいってのもあるだろうから、それはOpenIDでも使ってなんとかするとしても、参加したいと思わせるような仕掛けを作るのがなかなか難しいですね。

結局のところ内発的動機付けでポコポコとやる気がわいてくるようなフレームワークを考えないといけないわけだが、そういうのに対してゲーミフィケーションって名前がついてるようなので、よさげな書籍をチョイスして読んでみた。

本書はゲーミフィケーションをマーケの観点からバズワードとして捉えてマネマネとあおるようなないようでなくて、モチベーションのコントロール手法をどうやって社会に応用するかという観点からまとめてあるので、モチベーション3.0とかReality is Brokenなんかを読んだことのある人にはおすすめですね。

話の流れが、「ソーシャルメディアとは」から始まって「ソーシャルゲーム」の話しにながれて、モチベーションとは?ゲーム以外の事例の紹介という感じになっている。

ProductName ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足
深田 浩嗣
ソフトバンククリエイティブ / 2310円 ( 2011-09-14 )


カイヨワによる遊びの分類

  • 競争
  • 偶然
  • 模倣
  • あいまい

プレイヤーのタイプ

  • アチーバー(達成意欲重視)
  • エクスプローラー(好奇心重視)
  • ソーシャライザー(交流重視)
  • キラー(競争心重視)

ゲーミフィケーションフレームワークの適用

  • 利用者と目的の理解
  • 可視化要素の検討
  • 目標要素の検討
  • ソーシャルアクションの検討
  • プレイサイクルの検討
  • ゲーミフィケーション適用後の改善の検討

モデラーから解放された

まぁ上の方の気まぐれのような気もするが。

インフラまわりの提言しろって言われたので秋ぐらいから数回にわたり全体最適化のプレゼンをしたり、他の部署とコラボして前向きな提案をしてたら、今朝突然モデラーのジョブから外されて春まではインフラの構築とか(chemo x bio x pharma)informaticsまわりをやれっていうことになった。

集中できるのはいい機会なので、色々種まきしておこうかなぁと。やりたいこともやれそうだし。

ProductName Redmineによるタスクマネジメント実践技法
小川 明彦
翔泳社 / 3444円 ( 2010-10-13 )


ProductName アジャイルサムライ−達人開発者への道−
Jonathan Rasmusson
オーム社 / 2730円 ( 2011-07-16 )


ProductName モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社 / 1890円 ( 2010-07-07 )


ProductName ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足
深田 浩嗣
ソフトバンククリエイティブ / 2310円 ( 2011-09-14 )


今、個人的に興味が有るのはゲーミフィケーションというか内発的動機づけを如何にコントロールするかってことです。サイエンスっていうのは意外にゲームの性格が強くて、他人に論文読ませるのに、強制という手段をとってもうまくいかないし、じゃぁ論文読まないと仕事がぜんぜん進まないかというとそういうもんでもなかったりします。

しかしながら論文をきちんと読んだり、背景をきっちり押さえているヒトは無駄な手戻りがなかったり、ちょっとしたブレークスルーを見つけたりと、プロジェクトの前進には非常に重要な人材だったりします。逆に言うとデスマ臭のするプロジェクトはアサイン段階で分かるw。

っていうわけなんで、(天才肌でなくノーマル系の)個人がプッシュしあって高いところを目指すフレームワークを構築するっていうことに非常に興味が有るわけです。

イメージ的にはガウス分布の先頭を引っ張るか、後ろから押すかっていう感じなんですが、、、

そのうち絵を描くかもしれない。