アジャイルソウヤクサムライ

アジャイル開発を創薬系にどう取り込んでいくかっていう観点で。

ProductName アジャイルサムライ−達人開発者への道−
Jonathan Rasmusson
オーム社 / 2730円 ( 2011-07-16 )


第V部のアジャイルなプログラミングに関しては昔考えたことがあるので、II−IV部あたりを。III部の計画づくりはうまく取り込むのが難しそうな気がするけどIV部の運営は色々参考になる。

まず、ソフトウェア開発と初期創薬開発の似ている部分異なる部分を書いておくが、特に異なる部分が重要。

異なる点

  • 工学的にコントロールできるわけではなく、発見に頼る部分がある。つまり作ってみて評価してみないとわからない部分が大きい
  • 成功したかしないかの二択。9割完成したとかはない(こういうのは失敗とみなされる)
  • ベロシティがうまく見積もれない。ブレークスルードリブンなので非連続の進捗になりやすい
  • あっちを動かすとこっちがおかしくなるというなかでバランスをとリながらベストを探るという多次元最適化戦略になることが多い

似ている点

  • 何人もの異なるエキスパートの協調作業を強いられる。役割はきちんよ分かれているが、優秀な人材は幾つかのフィールドをまたぐことができる(インフラもフロントエンドもできるプログラマみたいな感じ)
  • 自分のジョブしかできないヒトはスコープが狭いし、メタな視点に立てない。学習意欲のない人の生産性が低いもの一緒

みんなをバスに乗せる

スタートを切る前からだめになってしまうプロジェクトの主な理由は次の二点

  • 答えるべき問いに答えられない
  • 手強い質問をする勇気を持てない

まぁ、創薬プロジェクトでもよくありますね、認識しておかなければいけない問題を敢えて目をつぶって進めてた結果、激ハマリっていうパターンが。

手強い質問を先にすませてしまうためにインセプションデッキというツールが使える。

インセプションデッキは10の手ごわい質問と問題から構成されており、いずれの課題もプロジェクトを開始する前に聞いておかないとまずい質問ばかりだ

エレベーターピッチ

効能

  • 明快になる
  • チームの意識を顧客に向けさせる
  • 核心を捉える

テンプレート

  • [潜在的なニーズを満たしたり抱えている課題を解決したい]したい
  • [対象顧客]向けの、
  • [プロダクト名]というプロダクトは、
  • [プロダクトのカテゴリ]です。
  • これは[重要な利点、対価に見合う説得力のある理由]ができ、
  • [代替手段の最右翼]とは違って、
  • [差別化の決定的な特徴]が備わっている。

やらないことリスト

「やる」、「やらない」、「あとで決める」をきちんと見える化しておくツール。

創薬プロジェクトで「やらない」にタスクを入れるのはなかなか難しいかも。なので、「やる」と「後で決める」を明確に分けられればいいかな。

アジャイルなプロジェクト運営

ジャストインタイム分析の利点

  • 最新かつ最も充実した情報に基づいて分析できる
  • プロジェクトが進むにつれて分析がうまくなっていく
  • 手戻りが大量に発生することを避けられる

最後の手戻りを避けられるのは大きな利点だな。それからリリースボードとストーリーボードは便利そうだ。

アジャイルな計画づくり

これが一番納得出来なかった。ベロシティが見積もれないようなプロジェクトだと与えられた期間を頑張るしかないんじゃないかなぁと思う。

それから名前が付いてるのかどうかわからんけど、探索的なプロジェクトだと締め切り間際になると集中力を発揮して何とかやり切るパワーみたいなのってありますよね。そういうのも重要だと思うんだよね。

というわけで、この部に関してはモヤモヤ感が残っているのでまた後で書くかもしれない。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

これは非常に興味深い本だと思う。モチベーション3.0とかゲーミフィケーションなんかはこういったことを暗に示唆しているような気がする。

ProductName 幸せな未来は「ゲーム」が創る
ジェイン・マクゴニガル
早川書房 / 2940円 ( 2011-10-07 )


「高度に発達した遊びは仕事と区別がつかない」は名言だと思っていて、僕自信はライフサイエンスの最先端の技術を社会に還元するという、いわゆる製薬業界にいるのだけど、まさにこの言葉があてはまるわけです。実際トップサイエンティストは「傍から見ていると仕事してるのか遊んでいるのかよく分からない」し、サイエンスをエンジョイしているので、こういった仕事は単なる頭脳労働ではないよなぁと思うことが多かった。

全てのゲームに共通する4つの特徴

  • ゴール
  • ルール
  • フィードバックシステム
  • 自発的な参加

ゲームをプレイするとは、取り組む必要のない障壁を、自発的に超えようとする取り組みである。

特に4番目が重要なんだと思う。

ゲームとはやりがいのあるハードな仕事

「フロー」とはチクセントミハイによって名付けられた「何かを創造的に達成することや高度な能力を発揮して満足した、爽快な感覚」のこと。

ゲームは明らかにフロー感の源であり、遊びは最高のフロー体験

内発的報酬に閑する重要な知見

人が潜在的に求めているもの

  • 満足の行く仕事
  • 成功体験、あるいは少なくとも成功への希望
  • 社会的なつながり
  • 「意味」や自分自身よりもなにか大きなものの一部になる機会

sofなんかはいい例だと思うね。さらにsofクローンをイントラに入れる事自体もハードな仕事で、安定したコミュニティを生成するというゲームになるので、あれあこれやとトライアンドエラーを繰り返しながら進めることが結構楽しかったりする(今やってる最中)。

支援者の誇り

「ナヘツ」とはイディッシュ語の単語で、自分が何かを教えたり、アドバイスしたりした相手が成功を収めたときに感じる誇らしい感情を意味する言葉です

これもsofで得られますね

第二部は現実を作り変えるという題で、代替現実(ARG)の話題だった。

  • アンビエントなアバターのフィードバックは効果が高い
  • 「フォースクエア」の前提は、より多く外出し、より多くの時間を友人と直接会って過ごしたら私たちはより幸せになれるというシンプルなもの
  • 「地元選出議員の経費を調べよう」というプレイ
  • オンラインゲームや、フェイスブックのような「遊び心のある」ソーシャルネットワークは外発的報酬をもっとも安定的に与えてくれます
  • ウィキペディアはMMORPG

Active Directoryのログイン名を使ったOpenID認証を考えている

Windowsでガチガチに固められている職場で、オープンソースのソフトウェアを導入するときに問題になるのが新規登録をどうするかです。イマドキのソフトウェアだと基本的にOpenIDの認証システムがついてるのだけど、イントラで使いたい場合には問題ありありなわけです。

ユーザーの立場だと新規登録ほど面倒なものはないし、自分がユーザーだったらイントラに新規登録が必要なウェブサービスなんてまず使わないしね。端末ログインする時に認証してるんだからそれを使い回せよって言いたくなる気持ちもわかります。

というわけで、イントラにOpenIDサーバーがあると便利だよなぁと思っているのだけど、ユーザー管理しているのは別の部署でOpenIDサーバーなんて立ててくれそうにないんですよね、さぁどうしたもんかと。

どうしたもんか、どうしたもんかと思いながらOpenID EnabledのPython Exampleを動かしていたら、サーバー側の認証ってサーバー側に任せられてるのねってことに気づいたというかユーザー名送ったらオウム返ししても一応OKなのか。

と言うことは、IE使えば

var o = new ActiveXObject("WScript.Network"); 
var uname = o.UserName;

で得られたログインネームをサーバーに渡して、それを返せばとりあえずOpenID対応できるんじゃないかなと思った。セキュリティはあんま考えなくていいようなサービスだったらこれでいい気がするが、どうかな。

ProductName OpenID: the Definitive Guide
David Recordon
Oreilly & Associates Inc / 2550円 ( 2012-04-30 )


参考

プログラミングでメシが食えるか!?

Cでのソケットプログラミングの本が良かったのと、ブログが面白いので買って読んでみた。

僕の場合はPerlからプログラミングの世界に入ったので、Cが主戦力の著者の話は参考になった。 大雑把に処理を書いてみてどういうメソッド名にしたら良いかとか考えるのは大体どの言語でも共通なのかもしれない。それから「普段と違うことをする場合にコメントを残しておく」とか。

一方、自作のライブラリを揃えておいたりサンプルソースを流用っていうのはCPANのような巨大なリポジトリを持っているperlの文化とはちょっと異なるかなと。

想定読者はプログラマーなりたてのひとかな。

戦略思考

なかなか面白く読めたが、読者のターゲットが今ひとつ。タイトルもよく分からないし(どの世代の10年後をイメージしてるんだろうか?)日本軍の話とかがでてくるから、若い世代に向けているわけではないのかなぁと。 それから、わかってない人にわかりやすく説明する本だとしたら丁寧さが足りないし、わかっている人の思考の整理のための本だと考えると主観が強すぎる気がしないでもない。

というわけで、ビジネス本のような明快さには欠けるんじゃないかな。個人的にはつまみ食いできたから満足だったけど。

今までだったら日本は全部共同体だから、共同体の中では人柄のいい人、空気の読める人、そういう人が上に行けば穏便に済んでいた

共同体というのは機能集団ではないからダメだということ。

  • 最初に成果/目標の定義をしろ
  • 「真っ当な学び」というのは、いまの自分に欠けている点をはあくすることからしかスタートできない
  • 戦略とは「しないこと」を決めること

言語実装パターンとタンパク質実装パターン

また面白そうな本が出たなぁと思いながら、手を出すべきか辞めるべきかと目次を見ていたら13章におもしろい節を発見した。

  • 13.1 タンパク質構造の中のパターンを見つける

構文解析器生成系ANTLRの開発者であり、サンフランシスコ大学教授のTerence Parrが贈る、言語実装パターンの解説書。構文解析、意味解析、インタプリタ構築を通じて、言語アプリケーション開発に必要な知識が身につきます。

考えてみるに、生物系ってコンパイラとソースコードがセットになったような変な処理系だよなぁと。

情報系よりの学会に行くと、RNAの立体構造を抽象的な文字列表現だけから予測しようとしして、物理化学的な性質無視してるから精度が出ないんじゃないのとか思う一方、大まかには記号化された抽象表現だけで大体合うから不思議だよなぁと。

タンパク質もそうだしねー。

一方で、(特に低分子の)創薬研究ってのは文字列の並びというよりは、フォントの書体の美しさとか、単語の並びの意味とかそういうあたりに着目するので、プログラム言語的にはLLのソースコード読みながらアセンブラの動きをイメージするような技術が求められるのかなーと。

<起業>という幻想

アメリカの話。

新しくビジネスを始める動機のほとんどは他人の下で働きたくないということに尽きるが、そういう動機で起業したヒトは起業家としてはあまりうまくいってないらしい。

まぁ、やりたいことははじめからあったほうが良いよね。

ProductName 〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実
スコット A シェーン
白水社 / 2520円 ( 2011-09-27 )


  • 仕事のある人よりもない人のほうが自分でビジネスを始める傾向にある
  • ビジネスアイデアを探している創業者の30%がベストなアイデアは、探さずとも自然にやってくるものだと信じている
  • 自営で働く人は、他人の下で働く人とおなじくらいの才能がない可能性があり、それが起業家がそれほど儲からないことの理由の一つとして考えられる
  • 起業が、仕事と子育てを同時に行う機会を与えてくれる

ポスト資本主義社会

知識重要

これからは忠誠心を給与によって獲得することはできないとした上で以下の質問に答えていく。特に、

これからは業績に対して報いるのに、中間的な指揮者的地位、すなわちマネジメント的な地位への昇進をもってするという伝統からの離脱が起こる

って言い切っているあたりはさすがだなぁと。

  1. 組織は社会においていかなる機能を果たすか。それはなぜ必要か
  2. 組織が社会学、政治学、経済学によって無視されているのはなぜか
  3. そもそも組織とはなにか。それはいかに機能するか

ProductName ドラッカー名著集8 ポスト資本主義社会
P・F・ドラッカー
ダイヤモンド社 / 2100円 ( 2007-08-31 )


教育に閑する話は面白いです。

学校の目的は、社会の改革でもなければ社会の改善でもない。個々人の学習である。

義務教育のカリキュラムに従って、教科書通りにみんな一緒に知識の階段登って行くなんて変だよね。

子供にどういう教育を受けさせるかってのは、まぁまぁの教育の機会だった自分としては非常に関心の高い事柄なんだなぁと自己を再認識したりしている。

医薬品産業戦略マネジメント

415pっていうのは結構なページ数なんで濃い内容なのかもしれないんだけど、なか見検索ができないので躊躇している。

★5の評価もプロモ的な臭い(「著者でなければ扱えないテーマが満載した、業界でも稀な大著」って明らかに宣伝文句でしょ)がするしなぁ。

ProductName 医薬品産業戦略マネジメント
佐藤睦美
東急エージェンシー / 2940円 ( 2011-09-15 )


ちょっと様子見リストに入れておこう。

バフェットとグレアムの教えは知識資本にこそふさわしい

13歳が書いたそうだが、知識資本家としての個人の戦略をどうするかという観点で読んでいくと非常に面白いですね。

ProductName バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門
アリャマン・ダルミア
阪急コミュニケーションズ / 1470円 ( 2011-09-16 )


マーケットを理解する前に自分を知らなければならない。本書ではこれを能力の輪と呼んでいる。つまり自分が何を知り、何を知らないかだ。

分散は我々自身の無知に対するヘッジである。自分がしていることがわかっている者にとっては、分散はまったく意味のない行為である。

バフェット

事業という、「城」を取り巻く「堀」が大切だ。利益水準が高く、設備投資の必要性が少なく、成長と配当のためのフリーキャッシュフローがある会社に投資すべきだ

知識資本戦略もまぁ一緒ですね。