戦略思考

なかなか面白く読めたが、読者のターゲットが今ひとつ。タイトルもよく分からないし(どの世代の10年後をイメージしてるんだろうか?)日本軍の話とかがでてくるから、若い世代に向けているわけではないのかなぁと。 それから、わかってない人にわかりやすく説明する本だとしたら丁寧さが足りないし、わかっている人の思考の整理のための本だと考えると主観が強すぎる気がしないでもない。

というわけで、ビジネス本のような明快さには欠けるんじゃないかな。個人的にはつまみ食いできたから満足だったけど。

今までだったら日本は全部共同体だから、共同体の中では人柄のいい人、空気の読める人、そういう人が上に行けば穏便に済んでいた

共同体というのは機能集団ではないからダメだということ。

  • 最初に成果/目標の定義をしろ
  • 「真っ当な学び」というのは、いまの自分に欠けている点をはあくすることからしかスタートできない
  • 戦略とは「しないこと」を決めること

言語実装パターンとタンパク質実装パターン

また面白そうな本が出たなぁと思いながら、手を出すべきか辞めるべきかと目次を見ていたら13章におもしろい節を発見した。

  • 13.1 タンパク質構造の中のパターンを見つける

構文解析器生成系ANTLRの開発者であり、サンフランシスコ大学教授のTerence Parrが贈る、言語実装パターンの解説書。構文解析、意味解析、インタプリタ構築を通じて、言語アプリケーション開発に必要な知識が身につきます。

考えてみるに、生物系ってコンパイラとソースコードがセットになったような変な処理系だよなぁと。

情報系よりの学会に行くと、RNAの立体構造を抽象的な文字列表現だけから予測しようとしして、物理化学的な性質無視してるから精度が出ないんじゃないのとか思う一方、大まかには記号化された抽象表現だけで大体合うから不思議だよなぁと。

タンパク質もそうだしねー。

一方で、(特に低分子の)創薬研究ってのは文字列の並びというよりは、フォントの書体の美しさとか、単語の並びの意味とかそういうあたりに着目するので、プログラム言語的にはLLのソースコード読みながらアセンブラの動きをイメージするような技術が求められるのかなーと。

<起業>という幻想

アメリカの話。

新しくビジネスを始める動機のほとんどは他人の下で働きたくないということに尽きるが、そういう動機で起業したヒトは起業家としてはあまりうまくいってないらしい。

まぁ、やりたいことははじめからあったほうが良いよね。

ProductName 〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実
スコット A シェーン
白水社 / 2520円 ( 2011-09-27 )


  • 仕事のある人よりもない人のほうが自分でビジネスを始める傾向にある
  • ビジネスアイデアを探している創業者の30%がベストなアイデアは、探さずとも自然にやってくるものだと信じている
  • 自営で働く人は、他人の下で働く人とおなじくらいの才能がない可能性があり、それが起業家がそれほど儲からないことの理由の一つとして考えられる
  • 起業が、仕事と子育てを同時に行う機会を与えてくれる

ポスト資本主義社会

知識重要

これからは忠誠心を給与によって獲得することはできないとした上で以下の質問に答えていく。特に、

これからは業績に対して報いるのに、中間的な指揮者的地位、すなわちマネジメント的な地位への昇進をもってするという伝統からの離脱が起こる

って言い切っているあたりはさすがだなぁと。

  1. 組織は社会においていかなる機能を果たすか。それはなぜ必要か
  2. 組織が社会学、政治学、経済学によって無視されているのはなぜか
  3. そもそも組織とはなにか。それはいかに機能するか

ProductName ドラッカー名著集8 ポスト資本主義社会
P・F・ドラッカー
ダイヤモンド社 / 2100円 ( 2007-08-31 )


教育に閑する話は面白いです。

学校の目的は、社会の改革でもなければ社会の改善でもない。個々人の学習である。

義務教育のカリキュラムに従って、教科書通りにみんな一緒に知識の階段登って行くなんて変だよね。

子供にどういう教育を受けさせるかってのは、まぁまぁの教育の機会だった自分としては非常に関心の高い事柄なんだなぁと自己を再認識したりしている。

医薬品産業戦略マネジメント

415pっていうのは結構なページ数なんで濃い内容なのかもしれないんだけど、なか見検索ができないので躊躇している。

★5の評価もプロモ的な臭い(「著者でなければ扱えないテーマが満載した、業界でも稀な大著」って明らかに宣伝文句でしょ)がするしなぁ。

ProductName 医薬品産業戦略マネジメント
佐藤睦美
東急エージェンシー / 2940円 ( 2011-09-15 )


ちょっと様子見リストに入れておこう。

バフェットとグレアムの教えは知識資本にこそふさわしい

13歳が書いたそうだが、知識資本家としての個人の戦略をどうするかという観点で読んでいくと非常に面白いですね。

ProductName バフェットとグレアムとぼく インドの13歳少年が書いた投資入門
アリャマン・ダルミア
阪急コミュニケーションズ / 1470円 ( 2011-09-16 )


マーケットを理解する前に自分を知らなければならない。本書ではこれを能力の輪と呼んでいる。つまり自分が何を知り、何を知らないかだ。

分散は我々自身の無知に対するヘッジである。自分がしていることがわかっている者にとっては、分散はまったく意味のない行為である。

バフェット

事業という、「城」を取り巻く「堀」が大切だ。利益水準が高く、設備投資の必要性が少なく、成長と配当のためのフリーキャッシュフローがある会社に投資すべきだ

知識資本戦略もまぁ一緒ですね。

TPPのいく先を事例で学ぶ(それはつまり韓国ですね)

個人的にはTPPはどうなのかぁと思っている派です。現状の経済としては明らかにゼロサムゲームっぽいのに、win-winなんてあるわけないでしょうから、単にアメリカに有利な政策なんじゃないかなぁと。客観的にみれば普通にそう思う。

実際にアメリカとFTAを結んだ韓国がどうなったかと、日本はどこが同じになりそうで、どこが異なる結果を迎えそうなのかとかそういう議論がないのが気持ち悪いですね。

ProductName サムスン栄えて不幸になる韓国経済
三橋 貴明
青春出版社 / 1575円 ( 2011-03-01 )


日本のマスコミには、「韓国に学べ」などと主張するヒトが少なくない。実は、筆者もその意見に大賛成である。日本は韓国に学ぶべきだ。お手本ではなく、反面教師として。

  • 法人税減税とは政府から民間企業への贈与そのもの
  • グローバルスタンダードの猛威のもと、たとえば日本の製造業が人件費の安い中国に企業にビジネスをうばわれたとしても、「地球全体の付加価値」は変わらない
  • 付加価値の源泉とは「人間のアイデア」
  • 「物の生産が増えるほど、国民の幸福が高まる」条件とは、物不足の環境下でなければ成り立たない
  • 近隣窮乏化政策とは、各国が相互に通貨安を仕掛け、自国の失業を相手に押し付ける

近隣窮乏化政策とかみていると、結局関税を撤廃して輸入の障壁を無くしたいのかなぁと思ったり。あとはさらに失業が押し付けられることになるのかもしれませんねぇ。

自分たちの目指す生き方は、グローバルスタンダードの影響を受けにくいような付加価値を作り出すようなジョブとかNPO的な労働を選択する方向にいくのかなと思う。

ProductName ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
P・F・ドラッカー
ダイヤモンド社 / 2310円 ( 2002-05-24 )


ProductName モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社 / 1890円 ( 2010-07-07 )


行き過ぎた資本主義がさらに行き過ぎると進化すんのかね?ポケモンみたいに。

私の営業方法をすべて公開します!

ブライアン・トレーシーと言えば自己啓発の本の人ですね。僕は自己啓発ってのはポジティブすぎてあまり好きじゃないのであまり影響されることは少ないかもしれないです。というより「いかにもなヒト」が苦手なだけかもしれませんが。

ProductName 私の営業方法をすべて公開します!
ブライアン・トレーシー
PHP研究所 / ?円 ( 2007-07-24 )


本書はセールスに焦点をあてて、色々書いてあるが、相手の立場に立ってよく考えるあたりは学ぶ所が多かった。まぁでも全体を通してポジティブシンキングで突き進めというトーンだったが。

自分は研究者というジョブに就いてるけど、こういうあたりを考慮すると営業マインドももっておかないといけないので、たまに読むといいというか、自分の資料はロジカルを重視しすぎるので、欲求に訴えかけるようなプレゼンもできるようにならんとあかんなぁと。

  • モノを買う。お客にはお客の理由がある
  • 買うことで得られるメリットを話すか、買わないことで生じるデメリットを話すか
  • ステータスをあげる商品が、購買意欲をそそる
  • ひとつの質問に対して最低20個の答えを書きましょう
  • 時間はあなたにとって貴重な財産です

新しいことをやろうと思ったら経営の層は出資者みたいなもんだ

経営に近い人達は当たり前だけど忙しいしだらだらとアポの時間を取れるわけではない。だから、自分たちは顧客とか出資者にプレゼンするつもりで臨まないといけない。同じ船に乗った同士とか昔の上司だからとか、よーく話せばわかるとか、そういうぬるい考えを持ってはいけない。

つまり、常にエレベーターピッチのようなものを用意して、現状の問題点と改善点を完結にプレゼンできるようにしておかないといけないし、30分程度の時間をもらえたらwin-winの提案をして資源を勝ち取らなければならないと思っているし、まぁ実践している(できているかどうかわからないけど)。

ProductName アントレプレナーの教科書
スティーブン・G・ブランク
翔泳社 / 2940円 ( 2009-05-09 )


というわけで、最近は寝る前にこの本を読んでいるんだけど、言い回しが堅苦しいのでよく寝られる。

内容はいいと思うんだが、咀嚼できてないので3回くらいは読まないと分からない感じ。

「誰が」会社を変えるのか: 誰なんでしょうねぇ?

著者はノーリツ鋼機の経営戦略室にいたらしい。ノーリツ鋼機といえばお家騒動的なアレとか産業が急速に減衰した業界ですね。

ProductName 「誰が」会社を変えるのか 近未来企業へのシナリオ
田中 淳視
文芸社 / 1470円 ( 2010-11-01 )


こういう背景を踏まえた上で読んでいくと、特に三章以降は恨みっぽい感情も行間に見え隠れしつつも、株主資本主義に疑問を呈している感もあるかなぁと。ネクスト・ソサエティで似たようなことをドラッカーも書いてたな。

一章、二章のどう働くかは参考になった。

  • ヒトを試算とみるか、コストと見るか
  • マーケティングにおけるスキミングポリシー
  • 成果における個人の努力によるものは2割程度
  • 経営とは「だれが」「なにを」「どうする」かをデザインすること