二人で時代を生き抜くお金管理術

アクセスログを見てたら著者からリンクを張られていたので、チラ見したらいいかげんな書評書いてたので萎えた。

最近、思うことがあるので少し読みなおしてきちんと書きなおしてみた。

尚、著者の方がblogのタイトル間違えてますが「澤姫」ってのは栃木の酒蔵です。美味いです。東北の酒が話題になってますが、この酒蔵も被災しているので見かけたら買うといいと思います。Save The 栃木酒ってことで。僕も夏休みに実家に帰ったら栃木の酒を飲みまくる予定ですよ

ProductName 夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術
花輪 陽子
ディスカヴァー・トゥエンティワン / 1365円 ( 2010-06-16 )


まず背景として、日本は緩やかに衰退していていて止まる気配など見せてませんね。最終的にはアジアの勢いのあるところに抜かれていくか、抜かれないにしても漸近的に近づいていくことになるんじゃないかなぁ。

あと、年金は僕らの世代は「もらえない前提」でしょう。人口減少しているのに若者世代が老人を支えるというのはかなり無理があると思いますね。ゆるやかにベーシック・インカムに移行しつつ、相続税100%くらい課さないと所得の世代移転がなされずにかなり硬直化するんじゃないかなぁ。せめて土地だけでももっと流動化して欲しいですよねー。

労働に関しては、一昔前のようにずっと同じ会社に勤め上げたとしても、退職金2000万円なんて難しいでしょう。労組の資料をよく見れば分かると思いますが。労組自体も若者から老人に所得移転しつつ逃げ切る組織になっているところが多いんじゃないでしょうか?能力があって本来もっと高い賃金で労働力を売るべき人間がロックされているのはよろしくないことだと思います。

そこで、なぜロックされているのか?ライフプランが間違っているけど修正できないのはなんでじゃろかなー。どうしたらこの閉塞状態からぬけだせるかのぉ?と思ったときに読めばいいのが本書ですね。

本書自体の主張は夫婦で600万円を目指すにはどうしたらいいかということを説いているのだけど、基本的にリスク分散するにはどうしたらいいかということです。二人で手堅く行くなら600万円を目指す路線ですが、ある程度の収入を片方が担保できればもう片方は積極的に攻めていくというのもありだと思います。むしろそうやって閉塞状態からの脱却を模索するというのも夫婦のライフプランというか戦略のひとつであるように思います。

本書は手堅く生きていく方法論だと思いますが、これを踏まえた上でどういうアグレッシブさを醸しだしていくかを考えてみると結構面白いと思います。

守破離ですよ、奥さん!

みたいな。

成果主義がそもそもうまく機能しないのはなぜか

モチベーション3.0を読んであれば理解しやすい。本書では日本人のやる気がないのはモチベーションの認識がきちんとできてないことと、そういうマネジメントがきちんとできる管理者がいない(または質が低い)ことに問題があるとしている。

成果主義は「馬の目の前に人参をぶら下げる制度」だが、現実には、モノやお小遣いで動機づけられた子どもがやる気を出すケースは稀

ま、そういうマネジメントは年功序列で持ち上げられた管理者には難しいでしょうねー(棒読みな感じで)。さらに研究職系のだと技術もないからロールモデルにすらならんし。

そもそも部下の評価などあまりしてこなかった管理職が、ひとりひとりの部下に適切な目標を立てさせて、その達成を手助けし、さらにその達成度を適正に評価するのは並大抵のことではないはずです

  • 日本人が極端にやる気をなくしたひとつの原因として「管理職の質の問題」が挙げられます
  • いまや「成果主義はうまくいったのかどうか」ではなく、「いったい成果主義のどこに問題があるのか」に世間の関心は移ってきている
  • デビルズアドボケイト
  • 先進十カ国のなかでは、日本の管理職のレベルはかなり下。行動科学をしらないから。
  • 日本人は何に対して給料を貰っているかという意識が希薄

会社の制度の話について知りたいのなら面白いけど、モチベーションをどうやってあげたらいいかなぁという話に関してはモチベーション3.0のほうがいいと思いますね。

ProductName モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社 / 1890円 ( 2010-07-07 )



デビルズアドボケイトやると、結構怒り狂うヒトがいるのでロジカルじゃない研究者は結構困るというか逆にスクリーニングの手段として有効。そういうヒトはデスマりやすいので、普段から危険には近づかないように気をつける。

ひとりビジネス

成長をあまり前提としない、一人でマネジメントしていくためのニッチ系ビジネス。

人を使うのも使われるのも嫌だというマインドが強いが、雇用をするというのは一種の社会貢献だと思うのでそれを目指さないというのは、ちと僕の目指す方向性とは違うかな。

  • 顔の見えないネットショップだからこそ売れるという商売
  • 「ひとりビジネス」の最大のメリットは経費があまりかからないこと

ビジュアルアートにおけるソフトウェアの可能性は何か?

コーディングの本ではなくて思想的な、というか美学を体系的に考えていくためのテキスト。普段あまり考えていなかったメタな部分について深く考える機会を与えてくれる良書。インスパイアされまくった。

コードには主に「伝達」「説明」「暗号」という3つの目的があるが本書では「一連の命令を表すコード」に注目している。

ソフトウェアは思考の道具でありソフトウェアを利用すれば大量の情報を活用する能力を高めるだけでなく、今までにない考え方もできるようになる。

で、この可能性のことをprocedual literacyというらしい。

前にも触れたが僕はドラッグデザインもアートだと考えている。特に薬剤そのもののかたちをどう表現するかは重要だし、形と特性の関係性の表現技法なんかもそうだようなぁと。

ProductName FORM+CODE -デザイン/アート/建築における、かたちとコード

ビー・エヌ・エヌ新社 / 2520円 ( 2011-04-25 )


スリットスキャニングとトランスコーディングが興味深かった。サポートサイトにProcessingのコードが載っているので動かしてみると楽しい。

労使トラブルのQ&A

裁量労働だとか、成果主義の導入とかで働き方が変わっているにも関わらず、上司(の上司)あたりは年功序列世代で労組マインドをひきずっているのでどうしても働く態度にズレが生じてきますね。

そういった部分の折り合いが付けばいいんだけど、つかなかった場合感情的な摩擦が起きるが、ポイントを知っていれば強く出ていいのか悔い改めなければいけないのかサッと判断できてよろしいかと。

ProductName 労使トラブルを解決するならこの1冊 (はじめの一歩)
河野 順一
自由国民社 / 1785円 ( 2011-03-18 )


  • 自宅謹慎中の給料はでる
  • 着替えが仕事に入るのかどうかはたまに出ますよね。
  • 会社が時季変更権を行使できるのは、恒常的な人手不足を解消しようという努力前提。
  • 退職時にまとめて休暇を取る場合は時季変更権を行使できない。
  • 雇い入れ時に勝手な職種転換は原則できない
  • 求人広告の額より安い給料で採用されるのはあり
  • 異様に長い試用期間は無効で、試用期間中でも14日を経過すると解雇予告制度が適用
  • 修飾の際戸籍謄本の提出を拒んで良い(住民票記載事項証明書で済ますのは可)
  • 期間を定めた労働契約は原則3年
  • リストラ対象者をくじびきで決めるのはだめ
  • 労働組合めんどくさい

振り返ってみて今の35歳位の人のキャリアで割と成功したかなーっていう事例集

自分が振り返ってみるに、こうすべきだったよなぁと思うことはあるが、今は環境が大きく変わっているし、今の20代のヒトがこれ読んでも教科書的な指針にはならないんじゃないかなぁと思った。

大きい会社に入ったら、時間を売るような仕事とか誰でもできるような仕事を避けるってのは正しい戦略だと思う。やりたくない仕事をしないという態度は別にデメリットにならないと思う。なぜなら、どっちにしろ年功序列的な出世なんて見込めないんだから。

  • 努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わない
  • 目標達成/目標達成能力バランスを考える
  • 弱い紐帯論

ProductName 7割は課長にさえなれません (PHP新書)
城 繁幸
PHP研究所 / 735円 ( 2010-01-16 )


ProductName 7つの習慣―成功には原則があった!
スティーブン・R. コヴィー
キングベアー出版 / 2039円 ( 1996-12 )


お金を増やす仕事は時間を売る仕事が多い

ブログ見て「おっ!」と思ってポチしたけど、結局時間を売っているだけだった。

仕組みをどうするかっていうのは数パターンしかなかったかな。

アロメトリーによるアニマルスケールアップとPBPK

先日の会議で、肝ミクロソームのクリアランスに顕著な種差が認められるコンパウンドなのに、「アニマルスケールアップでヒト予測」と宣ったいい年の現職がいたので、

「おまえはアホか?黙ってPBPKやっとけ」

を5重のオブラートで丁寧に包んで話しておいたけど、「なにげに専門だろ?10年以上この仕事やってんだろ?」という想定外の事象だったためなのか、5重の壁など何も役に立たなかった。相手の専門性を信頼し過ぎても駄目だということで。

会議に同席していたケミストのヒト達はピンとこなかったみたいですが、DMPKの基本的なところはきちんとおさえて、自分たちがどういう情報をフィードバックして欲しいかをきちんとコントロール出来ないといけませんね。最終的に自分達に跳ね返ってくるので気をつけたほうがよいですね。

研究でも、ウソをウソと見抜く力は養っておかないといけない。そのためには必要最低限の知識を持つか、信頼できるチャネルを確立しておく必要がありますね。

「しょうもない解釈したり、いい加減な実験スキームくんだらチームの専門外の要員から厳しく突っ込まれる」

そういった緊張感を持っていないとお互い堕落しますね。

ProductName ADMET for Medicinal Chemists: A Practical Guide

Wiley / 11060円 ( 2011-03-01 )


フリーライダーってのは仕事に対する認識の違いってのが大きいのかも

4月からチームごと異動になってる。異動先はまぁルーチンワークに全力投球的な部署ですね。保守メインだから仕方ないんだろうけど。意図というのはまぁ薄々感じていて、要するに我々が染まるのか、我々に染めるのかという駆け引きが行われる感満載なわけだけど、実際疲れるからイヤなんだよなぁ。一掃してつくり直すというオプションが存在しないってのは問題だと思っている。年功序列でところてん方式で押し出されたのを押し戻すと組合がうるさいからどうしようもないんだろうなぁ。って、僕らの世代にそういう処理も押し付けても困るわけですが、まぁそういう世代なんだろうなぁと思っている。

本書はちょうど僕らが抱えているそういうジレンマを含んだ給料格差をフリーライダーという観点から分類して分かりやすく説明して、暗黒面に染まらない、またはうまく避けるポイントを提示している。

経験上、真のフリーライダーってのはたしかにいますね。ぱっと思いつくのはこういうヒトとか。

本書のフリーライダーの分類っていうのは積極的にフリーライドしようという人間と、認識の違いとかカルチャーの急激な変化により取り残されたヒトの区分けをあまり明確にしていないかなぁ。なんというか歴史的経緯によるフリーライダーってのは一定数いますよね。上司から与えられた仕事をこなすのが仕事だったはずなのに、気がついたらその仕事はいつからか企画型業務に分類されちゃって困った困ったという。とりあえずやれる範囲で一生懸命やってみよう的な。給料一緒だったら同情すんだけど、結局そういう人達高給なんだよね、本書でいうアガリ系ってやつか。

それからフリーライドに一生懸命な人間というのは意外に組合活動頑張るという側面に触れてないな。これ重要かも。とりあえず組合に前向きなやつとは目を合わすなというのは僕の生きる智慧ですね。結局、ああいうのに染まると研究者的な堕落しか待ってない。キャリアブルスキルが喪失しますね。成果主義とか取り入れていながら組合のベアとか年功序列とかああいうの一生懸命なやつのほうが積極的なフリーライダーだと思うんだよなぁ。

  • ただのり社員とは「自分は楽をしておいて、他人の努力や善意の恩恵に与っているヒト」
  • 現場のノルマや成果管理が厳しくて、現場から本部に異動した人にとって、本部がまるで休憩所のようになっているケース
  • 年功序列から成果主義にスイッチする過程で「無能な上司、有能な部下」という図式ができやすくなる
  • アガリ型フリーライダーが生息しやすい条件は「サボっていてもそれなりの処遇が手に入る」
  • 敗者復活の文化は重要
  • 挑戦奨励、挑戦礼讃
  • 成長努力を怠っている先輩、上司はフリーライダーにみられがち
  • 自分をベテランと思った瞬間から没落は始まる

本書を読んだからといって、モチベーションがあがるわけではないが、なんとなくモヤモヤするシチュエーションってのはフリーライダー絡みではけっこうあるので、そういう時にモヤモヤしないで、自分の心に折り合いをつけるためには読んでおくといいのかも。

デザインの骨格はドラッグデザイナーも読むべし的な超良書です

僕はドラッグデザインにはアートの要素が沢山含まれていて楽しい仕事だと思っているし、工業デザインの範疇に入ると考えている。

例えば

  • 技術者は常に性能向上を目指します。しかし新しい価値は、性能のいかんにかかわらず、はじめからその技術自体に遺伝子のように組み込まれているように思います

これは、スキャフォールドのポテンシャルは決まっていて、リードオプティマイゼーションってのはスキャフォールドをできるだけ磨いて薬剤としての美しさを引き出す行為とも捉えることができるし

  • 形を描こうとしてはいけない。構造を描くことによって自然に形が生まれる
  • 絵を描くことは、ものの輪郭を描くことではない。重要なのは向こう側にあって見えてないものや、中心軸のような仮想の線を描く事。そうやって立体や空間の構造を把握したときに迷いなく輪郭を決定することができる

これはファーマコフォアをきちんと認識することの重要性ともろかぶりする

ドラッグデザインを工業デザインとして捉えるヒトはあんまり知らないけど、ケミストやケモインフォマティストが本書を読めば新たな視点が開けると思う

ProductName デザインの骨格
山中俊治
日経BP社 / 1680円 ( 2011-01-29 )


  • 技術者は常に性能向上を目指します。しかし新しい価値は、性能のいかんにかかわらず、はじめからその技術自体に遺伝子のように組み込まれているように思います
  • 生物らしい形の典型は、螺旋と節
  • 携帯電話機の一番重要な機能は「私であることの証明」なんじゃないか
  • 形を描こうとしてはいけない。構造を描くことによって自然に形が生まれる
  • 絵を描くことは、ものの輪郭を描くことではない。重要なのは向こう側にあって見えてないものや、中心軸のような仮想の線を描く事。そうやって立体や空間の構造を把握したときに迷いなく輪郭を決定することができる
  • インボリュート曲線
  • 図面というのは、設計者と製作者をつなぐ言葉のような物