「イシューからはじめよ」を読んだ

今年読んだビジネス系の本の中ではピカイチだった

限られた時間の中でいかに本当のバリューのあるアウトプットを効率的に生み出すかというゲーム

イシューを見極めるとあるが、逆に見極められないというのは何が問題か理解してないで、問題を解こうとする状態なのであろう。本書では「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめて「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく必要性を説いている。

また、イシューが特定できないときのアプローチを提案している。

よいイシューの3条件は「本質的な選択肢」「深い仮説」「答えを出せる」とあるが、自分の関わっている研究系の業務だと、分析に答えを出せるが、そこからどう方向付けしていいかの技術的な課題が結構あって苦労することが多いかな。あと、本書で触れてるFishing Expedition(肯定的な結果が出ないと役に立たない実験とか合成)をするヒトは結構多くて、「結局、最後に結果がでてればいいんでしょ」とか言われるんだけど、少しづつ変えていく必要はあるよなぁと思った。

ProductName イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版 / 1890円 ( 2010-11-24 )


  • 「考える」と「悩む」の二つの違いはなにか?
  • 犬の道とは
  • 犬の道を通ってリーダーになれたとしても、部下に犬の道しか示すことができない
  • 根性に逃げない
  • 一次情報を死守せよ
  • whyではなくwhere,what,howのイシューの表現を
  • よいイシューの3条件は「本質的な選択肢」「深い仮説」「答えを出せる」
  • 「答えのだせないもの」はよいイシューとは言えない
  • ワンウィークアンサー
  • イシューの分解
  • 何がわかればこの意思決定ができるかという視点
  • 空、雨、傘
  • 「どんなデータが取れそうか」ではなく「どんな分析結果が欲しいのか」
  • 分析とは比較、すなわち比べること
  • 限られた時間の中でいかに本当のバリューのあるアウトプットを効率的に生み出すかというゲーム
  • Fishing Expedition
  • プロジェクト終了のイメージ

2010年に読んだ本

今年読んで良かった本をビジネス系と技術系で5つずつあげてみる。

ビジネス本は読んだ量の割に心に残るものは少なかったけど内容がいい本は深くて色々考えさせられた。特に「イシューからはじめよ」はピカイチだった。

技術書は前半はPK-PDの本とか読んでいて、後半はプログラミング関係をそこそこ読んだ。Ruby関連の本が面白かったような気がする。エキスパートPythonプログラミングも大きい。

ビジネス本

とんがり

ProductName 小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
ジェイソン・フリード
早川書房 / ?円 ( 2010-02-25 )


ログをとるのは楽しい

IT業界に限らず、変化が激しい業界では短期的な成果を出すことも、長期的な視野での成果(つまり自分の成長)もきちんと考えることが大切だと思う。

自分で自分を経営しているって感覚が当たり前になるんだろうなと思っている

ProductName 経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目
新 将命
ダイヤモンド社 / 1680円 ( 2009-12-11 )


昨日読み終わったので感想記事を書いてないが、すごく良かった。ピンと来る人にはグイグイ引き込まれる内容。

ProductName イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版 / 1890円 ( 2010-11-24 )


技術書

5章まで残り。何度か読みなおしてPythonへの理解を深めていくための本

ProductName エキスパートPythonプログラミング
Tarek Ziade
アスキー・メディアワークス / 3780円 ( 2010-05-28 )


月曜日から金曜日に章が分かれていてメタプログラミングを学んでいく

ProductName メタプログラミングRuby
Paolo Perrotta
アスキー・メディアワークス / 2940円 ( 2010-08-28 )


バリバリEmacsを使っているEmacs使いが、作業効率をカイゼンしてさらにバリバリ使うようになるための本

継続やYコンビネータを知るために。独特の形式もまた読んでて楽しい

ProductName Scheme手習い
Daniel P. Friedman
オーム社 / 2940円 ( 2010-10-22 )


創薬研究の問題解決の方法論としても参考になることは多い

ProductName Redmineによるタスクマネジメント実践技法
小川 明彦
翔泳社 / 3444円 ( 2010-10-13 )


マーケットインとかプロダクトアウト

最近、社内の会議とか打ち合わせをしているとげんなりする事が多い。特に多いのが、マインドがプロダクトアウトすぎるということだ。

もともと、なんでゴールから逆算して考えるってことができないのかなぁと常々不思議だったのだが、プロダクトアウトの視点しか知らないからなんだろうなぁと気づいて納得した。

そもそも研究者は、頑張って成果物を出してみて、その後それが役に立つか評価してもらおうという思考のヒトが多いが、それは新しい物をつくるからであって、me-too drugを作っている労働者には全く必要ない思考なのではないか?むしろ、マーケットインの視点ありきでおまけというかタンポポ的にプロダクトアウト色をだしていけばいいんじゃないかなと思った。

逆の立場だったら、あんたの成果物買いたいと思うの?って聞いたら、うーんとか首捻っちゃうんだもん、不思議だよなぁ。

なんかマーケティングの本とか薦めてあげないとあかんよなぁと思ったけど、自分は普通に知っているので、実際どういう本を読んで勉強してもらえばいいかわかんなくて悩んでいる。

もしドラみたいなのあればいいと思うんだけどなぁ。僕はもしドラ読んだことないんだけど、もしドラには標記の内容に触れていますか?

「即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事」を読んだ

今の枠組みの中で考えたらそうなんだろうなぁ、となかなか面白く読めた。レビューにもあるようにそもそも人事制度がダメだから企業文化がダメという話はなかったのが気になったけど。

会社という入れ物に労働力を当てはめるという立場に立てば筆者の言うとおりなんだろうけど、個人のスキルを持ち寄って集まったものが会社という形態をとると考えれば主張はあちこち崩んじゃないのかなぁと思ったということです。著者が言うとおり、OJTとか会社が育てるという体力なんてなくなってきてるので、結局のところ社会全体が後者のほうに向かっていると思うんだよなぁ。その状況で今までの会社形態の中でどうにかしようというあたりに違和感を感じるけど。さらに、そのような状況で人事部に求められるものとかは著者の書いてるようなものとは違うと思うし、そもそも人事部ってそんなに重要な部署か?と。

すくなくともうちの人事部は (略)

ProductName 即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)
樋口 弘和
角川書店(角川グループパブリッシング) / ¥ 760 ( 2010-12-10 )


  • 企業側としては、新卒採用した人材に関しては、数年間は「育てる意識」を持っているものですが、中途採用した人材に対しては「成果をだせるかどうか」という物差しで測る
  • 確かにそうだが、そう簡単に辞めさせることができないので、新卒も中途もそんな変わらない。中途だと、すぐに組合の役員をやるという裏技もあるし(能力なくても大丈夫)。
  • 「3年だけ使えればいい」という現実的な発想をもつ企業が増えている
  • 採用も競争の厳しい「ビジネス」
  • 向上心の強い社員を飽きさせない
  • 会社は社長以上の人材を採用できない
  • 研究所は研究所長以上の人材を採用できないとも言い換えられる
  • そもそも上司というものは部下や顧客の見方が一番ただしい
  • 「これから新たな会社で頑張ろう」と力を発揮できるのは、過去にも頑張ってきたひとだけ
  • 一つの企業に長く勤めていれば「賃金が上がり続ける」という仕組みはどこかで限界に達するのは自明
  • 私たちの賃金低下は、対ドルレートの給与を踏まえ世界ベースで見たときに、労働の付加価値とマッチする段階まで進行していく
  • これからは「資格」「ノウハウ」「経験」はあまり重要ではなくなる

最近欲しい本

混合効果モデルの本の和訳出てた。英語版持っているけど、これは欲しい

ProductName S‐PLUSによる混合効果モデル解析
J.C. ピネイロ,D.M. ベイツ
シュプリンガージャパン / ¥ 7,140 ()
在庫あり。

MDの本

ProductName Ab Initio Molecular Dynamics: Basic Theory and Advanced Methods
Dominik Marx,Juerg Hutter
Cambridge University Press / ¥ 6,614 ()
通常1~3週間以内に発送

ProductName Numerical Simulation in Molecular Dynamics: Numerics, Algorithms, Parallelization, Applications (Texts in Computational Science and Engineering)
Michael Griebel,Stephan Knapek,Gerhard Zumbusch
Springer / ¥ 4,676 ()
通常2~4週間以内に発送

「「若者はかわいそう」論のウソ」を読んだ

Joe's Labo見てから読んだから1章しか読んでないというか、読みにくかったので途中でやめた(読む本なかったら対談のあたりは読んでおこうかな)。

データの後によくわからないたとえがあったりとか、そこからデータに基づかない著者の思いとか主張に発展したりしているかなぁ。論文読んでる感じでデータと文章追いかけるとひどく混乱する。

本読んでて疑問に思ったのは著者の主張している、「日本企業的スローライフ」はサステイナブルなのかなぁ?(または現在存在しているのか?)というところかなぁ。自分のみた感じだと、「日本企業的スローライフ」に当てはまるのは「仕事できないけど組合大好きで、横並び主張ばかりするダメ人間」しかいないような気がするが。

ProductName 「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書)
海老原 嗣生
扶桑社 / ¥ 798 ()
在庫あり。

本を買った

買った本。今回は高額な洋書がなかったので、数を買えた。

ProductName シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
レイチェル・ボッツマン,ルー・ロジャース
日本放送出版協会 / ¥ 1,995 ()
近日発売 予約可

ProductName 予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー,Dan Ariely
早川書房 / ¥ 2,100 ()
在庫あり。

ProductName 離散凸解析の考えかた 最適化における離散と連続の数理
室田 一雄
共立出版 / ¥ 3,360 ()
一時的に在庫切れですが、商品が入荷次第配送します。配送予定日がわかり次第Eメールにてお知らせします。商品の代金は発送時に請求いたします。

ProductName なわばりの数理モデル -ボロノイ図からの数理工学入門-
杉原 厚吉
共立出版 / ¥ 2,730 ()
在庫あり。

ProductName プロフェッショナルAndroid ゲームプログラミング
ウラジーミル・シルバ
日経BP社 / ¥ 3,150 ()
在庫あり。

ProductName プログラミングコンテストチャレンジブック
秋葉 拓哉,岩田 陽一,北川 宜稔
毎日コミュニケーションズ / ¥ 3,444 ()
在庫あり。

ProductName テクノ手芸
テクノ手芸部
ワークスコーポレーション / ¥ 3,570 ()
在庫あり。

ProductName 入門 自然言語処理
Steven Bird,Ewan Klein,Edward Loper
オライリージャパン / ¥ 3,990 ()
在庫あり。

ProductName 食える数学
神永 正博
ディスカヴァー・トゥエンティワン / ¥ 1,575 ()
在庫あり。

ProductName データ構造とアルゴリズム
杉原 厚吉
共立出版 / ¥ 2,415 ()
在庫あり。

「検索と発見のためのデザイン」を読んだ

パターン、Wiki、XPを楽しめたヒトは楽しく読めるはず。入門書ではないので、用語の説明は結構端折っている気がする。

ProductName 検索と発見のためのデザイン ―エクスペリエンスの未来へ
Peter Morville,Jeffery Callender
オライリージャパン / ¥ 2,520 ()
在庫あり。

  • 色と同じく、カテゴリーも本来恣意的なものである
  • 民間企業ではファインダビリティが重要
  • ROT(Redundant, Outdated, Trivial)
  • WineM
  • デザインとは同機能するかだ
  • ユーザーが検索ページの一ページ目から先に進むことはめったにない
  • ローテーションによるビューの切り替え
  • サビア=ウォーフの仮説(言語が思考を形成する)
  • デザインパターン

こっちもオススメ

ProductName パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)
江渡 浩一郎
技術評論社 / ¥ 2,394 ()
在庫あり。

アプレンティスシップ・パターン

製薬系の技術習得に関しても、役に立つ内容とか書いてるのだろうか?そうであれば、会社に一冊置いておきたいなぁ。

ProductName アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得
Dave H. Hoover,Adewale Oshineye
オライリージャパン / ¥ 2,310 ()
在庫あり。

目次みたらいいこと書いてそうだなぁ。「5章 永遠の学習」なんてみんなに読ませたいなぁ。明日注文だしてやるか。

検索と発見のためのデザイン

アンビエント・ファインダビリティ書いたひとか。予約しよーっと。

ProductName 検索と発見のためのデザイン ―エクスペリエンスの未来へ
Peter Morville,Jeffery Callender
オライリージャパン / ¥ 2,520 ()
近日発売 予約可

アンビエント・ファインダビリティ —ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅