PsikitでEnergy Decomposition Analysis(EDA)をやりたくてKitaura-Morokuma Analysisとか実装されてないかなーと調べてたんですが、SAPTってのを使えばよろしいらしいところまでは到達した。
でもって、そのあたり使ってる論文がJ.C.I.Mあたりに投稿されてないかなーとさらに調べた結果、Tuning Stacking Interactions between Asp–Arg Salt Bridges and Heterocyclic Drug Fragmentsという論文をみつけて読んだらやばかったという話。
Asp–Arg塩橋とヘテロ環のスタッキングってよくみられるし強い相互作用っぽいんだけど、よくわかってないよね?だから量子化学計算で調べるわっていう内容で、単環、二環、三環のヘテロ環(窒素シャッフリングが多い)の63モデルでローカルミニマム、グローバルミニマムを探索して、どういう位置関係になっているかとかEDAしてみてどういう成分が効いているのかを調べていた。
得られた結論としては塩橋だけどヘテロ環はカチオニックな残基(LYS,ARG)との相互作用のほうが安定に形成しそうだってことと、ElectroStaticな項が相互作用に支配的で、DispersionInteractionがまぁまぁ効いてそうってこと。それから双極子モーメントはほとんど寄与していないってことから無指向性の相互作用ってこと。
論文では塩橋をモデル化しているけど、内容をよく考えるてみるとこれはおそらくカチオニックな残基単体でも成り立つだろうし、そっちのほうが強いんだろうなぁというところまで理解できたので非常に良かった。うまくやればプロアクティブにヘテロ環導入して活性向上できるかなと思う。一方でなんでカチオニックな残基との相互作用が強いの?ってことに関してはおそらく窒素シャッフリングの環だからだろうなぁと思った。
じゃぁアニオニックな残基(ASP,GLU)と強く相互作用するようなヘテロ環、アリルは何よ?っていう疑問が湧くと思うんだけど、そっちに関しては既に理解しているのでそのあたりまとめてどこかで発表しようかなと思っている。ちょっとコントラバーシャルかなーと思わないこともないけど、量子化学系の人たちがもっとSBDDに参入するきっかけになってくれると嬉しいなーと。