Pharmahack(Open Innovation)

在宅勤務+GWのコンボで暇なので駄文を書いてみることにしました。だらだらと調べ物をしてたり、文章の推敲をしていたらあっというまに3時間くらい消費してしまったので、もし役に立ったらこのあたりからパンダンリーフとかカラピンチャとか乾燥ポルチーニを送りつけてもらうと嬉しいです。

または代わりにビールでも注文してあげてください(たいてい、週末の帰りにここで一杯飲みながら今日のような内容を考えているのでお店に貢献したい)。

尚、このエントリはとりあえず製薬企業に入りたいとかいう修士向けの内容ではなくて、ジョブディスクリプション型の応募、つまり、製薬企業の研究開発職にポスドクから転身したいとか、他社へ転職したいとかいう人向けのハックだと思っています。

ざっくり言うとオープン・イノベーションのサイトを眺めて企業の内情を想像しようって話です。

企業のR&D報告書はチェックする

たいていの製薬企業が毎年報告するR&D報告書は押さえましょう。R&Dとして長期的に進みたい方向が示されているので、自分のやりたいことと企業の進む方向性にずれがないかはこのあたり読んでいるとわかります。ただし成果報告については現場のお化粧がマシマシされていたり、トップ層の夢がまぶされていることが多いので、額面通りに受け取るのは危険です。他社でも内情知ってると「うわー、そこ盛っちゃうか!」とか「あれ、その領域辞める方向で進んでるんじゃなかったっけ、とりあえずアピールだけかな?」とかわかるので、前職などのR&D報告はフィクションとして楽しめたりしますw

概ねR&Dトップの意思や目指す方向はその企業の進む方向なのでこれを理解しておくことは重要です。

オープン・イノベーションサイトの読み方、使い方

「製薬企業、オープン・イノベーション」で検索をかけるといくつか解説がヒットするのでまずは目を通しましょう

背景としては大体こんな感じで、外部との連携をスムースに行うためにオープン・イノベーション担当部署が設置されて、外部からの提案を広く受け付けるために公募サイトが設置されることになります。ただし公募サイトはなんでもうけつけるわけではなく、先ほどでたような企業の成長方向に沿ったもの(R&D報告書に記載している)になると思います。

このとき、R&Dの成長戦略に沿ってオープン・イノベーション担当部署が独立して動くようであればベンチャーキャピタル(VC)の様相を呈して、案件の評価もほぼ独立して担当することになるでしょう。つまりこのスライドの11枚目のベンチャー活用型オープン・イノベーションというやつです。この場合は外部の提案に対し、Go/No-goの判断をするだけなのであまり見るべきところはありませんが、単独で評価できる能力があるということは相当優秀な人材を集めたなぁとは思うのでVC的な仕事がしてみたければこういうところに潜り込むことを考えても良いかもしれません。

さて、先のスライドのもう一つのほう、産学連携型オープンイノベーションというのが今回のポイントとなります。

スライドでは

日本では創薬ベンチャーの育成が十分でなく、学の優れた成果を産に活かす産学連携が革新的な医薬品開発の推進に必須であると考える

と書いてありますが、要は産学共同で企業のニーズに合った技術革新を行ってお互いハッピーになりましょうということだと思います。この場合、ニーズは現場から吸い上げられオープン・イノベーション担当部署にてまとめられるので、そのリストは近視眼的で生々しい(具体的な)ものとなりがちです。つまり、現時点で現場が困っていて解決したい案件がニーズとしてあがりがちだということです。

重要な点は、ニーズ提案部署の能力の限界をそこから見積もることができるということです。もし、そのニーズがstate-of-the-art(SOTA)を超えたところにあり、自分のスキルやチャレンジの方向が一致していると、そういうところで働くとハッピーになれる可能性が高いでしょう。あとは募集が出てなくてもコネをたどるとなんとかなることもあるでしょう。(現場からすると協業でも人材獲得でもそんなに大差ないし、欲しいのはそういう技術をもった人材なので)

逆にSOTAに遠く及ばんだろみたいなウィッシュが上がっていたりすると、チームのレベルがそれほど高くない可能性があったり、AIが云々とかの抽象的すぎる大雑把なニーズだったりするとニーズ提案部署にプログラミングできる人がいないというオチがあるかもしれません(そういうところで活躍したいのか、高いレベルで切磋琢磨したいのかは人それぞれなのでそれの良し悪しを論じたいわけではないです)。

こんな感じで、ある程度感触を掴んでおけば学会でポスター発表している人とかに裏とりの質問したりできますし、コネクションも作りやすくなると思います。

ざっと国内の製薬会社のオープン・イノベーション公募サイトをリストアップしてみましたが、TaNeDS(タネデス)なんかはニーズ集約っぽいですね。

それではカラピンチャなどお待ちしています。

フロンティア軌道で化学を考える

私の一番大きな興味は蛋白質と低分子化合物の相互作用を如何に深く理解するかってことで、最近は量子化学のパラメータを記述子として使ったりしてるんだけど、ガチ量子系の研究者の言ってることがにわかの私には理解できないことがたまにある。

最近であったconfusionは励起状態への遷移に伴うインデュースドフィットの描像が古典力学の解釈でのそれとはなんか違うような気がして時間的な変化どうなってんのかねーという疑問が湧いたので、この本を読み直している。

レチナールとか視覚系は量子化学的な取り扱いしないといけないとは思っているけど、普通の低分子化合物の場合はどこまで非占有有軌道が効いてくるのか興味があるところ。

Mishima.syk #15 の開催を見合わせます

COVID-19で色々と大変な状況になったので、開催を中止することにしました。

かなC

ProductName パブロンマスク365 3枚入

大正製薬 / ?円 ( 2009-08-07 )



日程決まりました。3/28(sat)です。

参加登録は以下からどうぞ

演題も募集中です。

細胞の分子生物学 第17,18章

細胞周期とアポトーシス

ProductName 細胞の分子生物学
Bruce Alberts
ニュートンプレス / 22300円 ( 2010-01 )


細胞周期の方はなぜうまいこと分裂するのかについて物理化学的な説明がきちんとなされていなくて、なんとなくもやっとしたものが残った。

相分離生物学が切り開いていくことを期待している。

ProductName 相分離生物学
白木 賢太郎
東京化学同人 / 3520円 ( 2019-08-02 )


ChEMBL25をMBAにいれる

25を入れたときのログ。今回は高速化のために postgres.confのfsyncをoff にしておいた。

dropdb chembl_23
psql -l
createdb chembl_25
psql -l
pg_ctl -D /usr/local/var/postgres stop
# vim postgres.conf -> fsync=off
pg_ctl -D /usr/local/var/postgres -l logfile start
$ pg_restore -j 2 -d chembl_25_postgresql.dmp

FMO calculation of C-H···O Interaction

This is the 24th article of the Drug Discovery Advent Calendar (Dry) 2019.

I was very impressed by the weak hydrogen bonds in the article, A C-H···O Interaction Against IRAK4 / Drug Hunter . So I checked that interaction with Fragment Orbital Method

PDB:6UYA was used as a complex structure and details of calculation are here

  • Method: FMO inplemeneted in GAMESS
  • Basisests: MP2/6-31G
  • PIEDA terms: Electrostatic(ES), Exchange repulsion(EX), Dispersion interaction(DI), Charge Transfer(CT)

If you are not familiar with FMO, this book will help you.

This is actually the article for the 24th advent calendar, but I can't give you this book because I'm not Santa Claus. If you click on the link instead, I'm sure that Amazon will deliver this book to you instead of Santa Claus.

What a wonderful Christmas gift it is! Now, click it!

The result is here. I only show the interaction which have strong stable/unstable interactions for clarify.

The result shows that there is a C-H···O Interaction between compound and protein(TYR264 in this case), but the interaction energy is rather weaker than the typical hydrogen bond.

*** The amino acid number  and fragment number doesn't exactly match in FMO. The carboxylic acid moves to the next residue because of cleaverage  in protein at C (sp3) -C (sp3) bond.

And also I'm not sure that the nature of this interaction is same as hydrogen bond. I guess it also includes side chain effects because DI term is slightly large. To clarify this, we can replace TYR with Gly and execute FMO calculation again.

modality

Next, we will interpret it by frontier orbital, but it's WIP.

  • HOMO: red and blue, LUMO: green and yellow

modality

I guess we'll know a lot if I do it so far, but I've run out.

Have a happy new year!

趣味の量子構造生物学はじめました

この記事は、創薬 (dry) Advent Calendar 2019 の14日目の記事です。

先日とある学会で@torusengokuのDNAメチル化のポスターを聞いていたら、横からある助教の人が乱入してきて「メチル基とアミノ酸残基の相互作用がこんなに強いのは納得いかない」といようなことを言い出してディスカッションになった気がします。結局これはカチオン-πであろうということで終結したのだけど、この議論を通して、

  • DNAとタンパク質の相互作用って、プリン体という低分子とアミノ酸の相互作用に還元できるんだ
  • エピジェネってエントロピードリブンだと思って近づかなかったけど、実はエンタルピードリブンで構造生物学向きなんだ

という重要な知見を得ることができました。ついでに@torusengokuからMeCP2も同じような結合様式を取っているようだと教えてもらったので、計算してみたというのがこのエントリーになります。

MeCP2はmethyl-CpG binding protein 2であり、methyl-CpGを特異的に認識して結合するタンパク質です。結晶構造からはMeCPのARGがメチル化されたCの対のGと結合しています。この相互作用は相補鎖についても同様です。

MeCP2

FMO計算をしてメチル化CのPIEDAを見てみると、ES項がごちゃごちゃと現れてきますが、実際の溶液中だとほとんどキャンセリングしてると考えられます。このあたり改善していく必要があると思いますが、どうすればいいのかわからない。

MeCP2_pieda

ESを除いて見やすくすると、対となっているGとの相互作用が強く出ていますが、それと同時にARGとのDIの相互作用もかなり強く出ています。これはカチオン-π相互作用でしょう。

woES

このあとは脱メチル化したモデルを作ってPIEDAの差分を取ったりするとメチル化の効果によりどのくらい結合が安定化したかとか成分がどう変化したかとかの詳細がわかります。

このような、protein-DNA interactionやprotein-protein interactionに関する理解を深めておけば、従来のkey-lock型の相互作用に基づかない新たな生体干渉方法のアイデアが浮かぶんじゃないかなーと思います。

先週の分生の相分離のワークショップ出たときも、「相分離はエンタルピードリブンだ!」とおっしゃっていたので、構造生物学から攻めることできちんと理解される生命現象は少なくないのではないかと考えています。

構造活性相関シンポジウム2019に参加した

なにげに構造活性相関シンポジウムは初めてです。依頼講演で呼ばれたついでにポスター発表しようと思ったらオーラルに変更されたので、2演題話してきました。両方とも活発な質疑ができたので、少しは盛り上げられたかな?と思いました。

構造活性相関シンポジウムって創農薬寄りなんですね。藤田センセだからまぁそうなんだろうなとは思いましたが。全体的に参加者の人達はMachine Learningをもうちょっとしっかり理解しておいたほうがよいのではないかな?と感じました。個人的にはMol2Vecの面白い使い方を知れてよかったのと私のにわか量子化学力をシャキッとさせるコネクションができて満足した学会でした。

あと、ポスターにOCamlのロゴを印字している方がいてOcaml愛に溢れとるなーと感じた。

私もHaskellでコード書いてポスターにロゴをのっけたいところ

前泊入りしたので羽田空港にて。静岡のHaskellerの嗜み。

1576303854

熊本についたら、なんかイベントやってた。

1576303806

夜はライフイズジャーニーっていうお店で熊本ラーメン食べた。

1576303860

つまむものがないので、ラーメンをつまみに焼酎飲むらしい。まわりがそんな感じだったので 私もそれに倣った

1576303814 1576303848

帰りにくまモンラベルの白岳を買った

1576303803

学会会場は熊本城の近くだったので、ちょっと早めに到着して散策(ポケストップを回す)してみた。

1576303824 1576303835

懇親会では日本酒飲めたので満足。あと色々お話したり議論できてよかったです。トレーナーのフレンドも増えたw

1576303840

次の日も発表なので二次会に出ずにホテルに戻ったけど、お腹が空いたのでラーメン注入。 ここはまぁまぁかな。

1576303843 1576303845

二日目のランチは、前職で一緒に仕事をしていた方とラーメン。天外天行ったら夜のみ営業だったので黒亭。 生卵は入れず。

1576303832 1576303838

学会終了しても終電に間に合わないのでもう一泊して馬った。

1576303800 1576303828

馬ホルモン焼きとホルモンのポン酢和え。

1576303851 1576303857

馬刺しは別に興味なかったのでこんな感じ。御殿場でいつでも買えるしね。

1576303808

最後にまたライフイズジャーニーに寄った。美味しいね、ここ。

1576303817

今回は博多ラーメンを注文。こっちのほうが好きかな。

1576303822 1576303811

モダリティの四面体

この記事は、創薬 (dry) Advent Calendar 2019 の8日目の記事です。

料理の四面体

皆さん料理は好きですか?レシピをいくつ覚えていますか? 食材や調味料が足りなかった場合にあなたはそれらレシピをアレンジすることができますか? もしアレンジできないのであれば、そもそも料理というものを理解していない証拠なので「料理の四面体」を読みましょう。

ProductName 料理の四面体 (中公文庫)
玉村豊男
中央公論新社 / ?円 ( 2017-06-30 )


読んでいない人のためにネタバレを用意したので、ざっと読んでみてください。ちなみに私の強烈なaha体験はアヒージョと茹でた肉や野菜の油がけは可換であるという事実でした。これによりメタレシピというものに目覚めたし、急激に料理の応用の幅が広がった気がします。

創薬モダリティ

さて、ここからが本番です。

みなさんはモダリティをご存知でしょうか? もし知らなければNew Modalities, Technologies, and Partnerships in Probe and Lead Generationが参考になると思います。

以下は全文にアクセスできますが、論調が私の主張と合わない部分があるので参考として載せておきます。

モダリティの話が出てくると文脈には「低分子はオワコン、これからは中分子の時代」という既存の手法との対立が含まれていたり、百貨店よろしく、いくつのモダリティをピラーにするかという風に語られることが多いように思いますがもう少し統一的な視点を与えられないかというのが今回のお話です。

そこで冒頭の料理の四面体の枠組みを借りてきて、それぞれの辺に「分子量」「MoA」「測定系」というパラメータをアサインします。するとそれぞれの辺を頂点に持つ三角形が(広義の)モダリティを形成することになります。

分子量に関してはよいし、MoAもセントラル・ドグマだと考えればOKかなと思いますが、測定系が連続値をとるというのはちょっと乱暴だけど無視してください。

これでキレイに抽象化できたかなと。

modality

こうしてみる特にモダリティで組織化する場合にはそれぞれのモダリティに応じたテーマの探索を志向すると思うのでプロダクトアウト色が強くなりがちだと思うのですが、そのあたりどういう風に舵を取るんでしょうね? 個人的にはRight Target -> Right Modalityをどう選ぶかというMoA in(マーケットイン)なアプローチは重要なんじゃないかなーと思います。そしてそれができるのがDryの人達ではないかなと考えています。

結局モダリティで組織化せざるを得ないのは技術ロックされるからだけど、コンピューターサイエンスとしては低分子の構造最適化も、ペプチドの最適化に特に壁はないし、バイオインフォマティクスもやればいいので、別にプロダクトアウトの立場になる必要性もないでしょう。むしろRight Targetが得られたあとに適切なモダリティの選択とドラッグデザインができれば楽しくプロジェクトに関われてハッピーなんじゃないかなと。

ただそのためには、key-lockシステムを超えたMoA干渉のアプローチ方法を理解しておく必要があるかなぁと思います。さらには新しいWetの技術などもキャッチアップしないといけないけど、分子設計者としての幅は広がって楽しいでしょう。

参考

今回昔書いた以下のエントリを参考に書き直してみました。

分生四日目

朝は粥

1575682854

分子生物学会というなのお食事会も最終日

1575682857

昼は海鳴でラーメン。たしかにここは美味しかった。博多滞在中結局2杯しか食べられなかったので 今度はラーメン詣でにいこうかな。

1575682840

デイトスの酒屋の角打ちでスタバったら当たりをひいて一杯サービスになった。

1575682842 1575682845

このまま帰るとただ酒になってしまうので、みやざきのひでじビールを頂いた。

1575682848

新幹線の中では先程の酒屋で購入した三井の寿をちまちまやった。新幹線で飲まないと立派なHaskellerにはなれない。 すくなくとも静岡では一人前のHaskellerとしては認められない。

1575682851