生命科学研究のためのデジタルツール入門

ChatGPTとDeepLの使い分けをどうしているのだろうかと気になっていたので、発売日と同時に生命科学研究のためのデジタルツール入門を買ったのだけど、忙しくてレビューを書いていなかったので。

対象読者は、ラボに配属されたばかりの学生だと思いますが、その前の学部2回生くらいから読んでおいてもいいと思います(というわけで今週帰省してくる娘に読ませようと思っている)。

自分としては冒頭書いたように8章のAIツールの活用に興味があったので、勉強になるところが多かったです。

LLMは「単語の並べ方のデータベース」として、よい表現(よい単語の並べ方)を得るのに使うことが多いです。そのあたりはニュアンスの説明が難しいのですがなんというか将棋ウォーズの棋神みたいな使い方になっている気がします。

LLM使ってどういう面白いことをするのかは次回のMishima.sykで少し触れる予定です。

Mishima.syk #19やりました。次回の#20は10周年です。

まずは参加者の皆様、発表者の皆様お疲れさまでした。3年ぶりくらいのオフライン開催で久しぶりにみなさんと楽しくやれてよかったです。

たくさん情報交換できたのですが、タンパク質の一時配列もBERTやることに意味がありそうということが知れてよかったです。ただSMILESにBERTはあまり筋が良くないのではとも改めて感じました。

online開催のときにはdiscordを使っていたので、情報が閉じちゃっていましたが、今回はまたTwitterのハッシュタグで追えるようになっています。

日曜日(今日ね)はちょっとやらなきゃいけない仕事があったので終電には帰ろうとちょっと早く抜けたのだけど、週末は終電一本早いのを知らず。タクシーも来ない駅で途方に暮れた結果、結局1時間弱歩いて帰宅することになりましたとさ。

さて、次回のMishima.sykは10月に開催する予定です。そして10年目を迎えることになります。みなさんもとっておきのネタを持参して参加してもらえると嬉しいです。

MIshima.syk #19開催します(2023.2.18)

久々にオフライン開催です。1月中旬から下旬で調整していましたが、会場が押さえられずにこのタイミングになりました。

というわけで、時間は十分にあるので、皆さんのとっておきのネタを持ち寄って楽しくやりましょう。今回オフラインなのでディープな話題もOKです。そしてこれを機に沼津に遊びに来るのもアリです。

Discovery and Structural Characterization of Small Molecule Binders of the Human CTLH E3 Ligase Subunit GID4

Discovery and Structural Characterization of Small Molecule Binders of the Human CTLH E3 Ligase Subunit GID4

GID4に強く結合する化合物を探索するためにフラグメントスクリーニングしたりDELを使ったりするというストーリー

そもそもGID4は結晶構造が取られている上に基質認識のために深いポケットが有ることがわかっているというかFDVSWFMGというデグロンというペプチドを認識することがわかっているので、フラグメントスクリーニングの確度がちょっとあがっているから良い戦略だなと思いました。

ただフラグメントスクリーニングで得られた化合物の結合能はサブuMとそれほど高くなかった。

それとは別にDELを使ったスクリーニングをしているのだが、非天然アミノ酸trimerって感じの戦略なのでうまくペプチドミミックを選んでいるなぁと思いました。まぁそれはみなさんがDELをイメージしているかは別としてGID4の認識能をうまく利用したスクリーニング戦略だなぁと思いました。

さて、E3リガーゼはミスフォールディングを認識すると言われますが、ミスフォールディングって何かなぁと考えると「正しくないフォールディング」ってなるわけで、それって何?っていうのがSBDDとか構造生物関連の人には定義ちゃんとしろよーとか思われると思うのです。

私の解釈だと、「本来蛋白質の3次元構造のパッキングに寄与する疎水性残基が蛋白表面に露出してしまっている」とか「ペプチドの主鎖がうっかりみえてしまっている」とかそういうのがミスフォールディングとして認識されるのかなぁと思っているのでDELで非天然のアミノ酸様トリマーを合成するのはわかるんだけどそれはペプチドなぞってないか?とズルいというか言葉遊びをしているのではないかという気はちょっとします。

それだったらペプチドスクリーニングから論理的に設計して低分子の転換を目指すのが王道っていうか正しいサイエンスなんじゃないかなーと思ってます。ペプチドの相互作用から低分子化目指してスボレキサントまでたどり着くようなイメージですが、、、

Immune System Category of PDB

IMMUNE SYSTEMカテゴリの7500弱の構造のうち興味を持ったものをリストアップしていく。NGSとかオミクスの試験計画を立てるにしても、ある程度仮設を立ててからじゃないと意義のある試験なんてできないよなぁと最近また強く感じたのであった。構造情報はそういった仮設構築の際にたいへん役立つのである。

CADD従事者でもバイオインフォマティシャンでも解析者であることは間違いないので、同じ情報でもいろんな観点から眺められるのがよい解析結果を出してよりよい次の仮設につなげるコツですよねぇと思いつつ。

とはいえ、この曲はよいですな。前職でちょっと変態気味なウェブサービス作ったときにMefjusにちなんだ名前をつけたのを思い出した。

1-1000

1001-2000

2001-3000 (2022.09.18追記)

3001-4000

4001-5000

5001-6000

6001-7000

7001-7500

Targeting RNA structures with small molecules

なかなか読み応えのあるレビューでした。一方で、低分子でRNAに干渉するのはまだまだ難しそうだなぁと思いました。

色々と手法がまとめられているけど、結局のところ論理的に進められていないのは安定な3次元構造を得るのに手こずっているからかなぁと思います。

There is currently not enough knowledge in the RNA world to be able to classify RNA targets; however, most, if not all, bioactive small molecules target stable, functional structures. By identifying regions with unusually stable structures that are evolutionarily conserved , we can gain insight into potential functional structures and expand the druggable transcriptome. Key to the discovery of small molecules that bind these sites is to hypothesize function and hence potential compound MOA.

バルジとかループとかのRNAの二次構造予測から低分子のターゲットサイトだぁとかやるのはSBDDの観点からはあまりに無知すぎではないのかなぁと常々思っていますがどうなんでしょう? Riboswitch見てもそんなに単純な二次構造ではなくもっと複雑な構造をしてますしねぇ。

個人的にペプチドは高級言語、DNA/RNAは低級言語相当なんかなぁと思っています。まず2次構造考えた場合にペプチドは主鎖のアミド結合がヘリックスやシートを形成するから側鎖がそのまま多様性に直結するけど、核酸の場合は塩基が対を組むことで二次構造を形成するから、そもそも糖の部分とリン酸が表面に露出せざるを得ないし、塩基対の不一致をうまく使って構造の多様性を出さざるを得ないから、低分子結合サイトを形成するのにもペプチドよりも多くの塩基を必要とするでしょうし。

それからターゲットとしては、エクソン中に安定な構造が形成されたら読み取りのときに困るから、イントロンか5'UTR,3'UTR、またはmiRNAなんですかねぇ。でもmiRNAも相補鎖組むときにほどけないとこまるから、低分子のターゲットになるような3次元構造組みづらい気がするのですがどうなんでしょうねぇ。

これ読んでおけっていう論文があったらおすすめしてもらえると嬉しいです。

Mishima.syk #18やりました

参加していただいた皆様どうもありがとうございました。

個人的には「Cell-type DeconvolutionとDiagonalデータ解析の解説」が大変おもしろかったです。解析もっと頑張りたい。

さて私の資料はこちら。 良い文献を効率よくシェアするのがよいチーム、組織を作るために必要なことだと思うのですが、皆さんあまりうまく行っていない感じですね。

新着文献チェック

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文献管理

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文献情報共有

  • 最近、著者が連ツイで自分の論文解説するケース多いのでああいうの読むと手っ取り早い
  • 詳しい人に無理矢理メンションしちゃいます
  • TeamsにJournal club作ってますが流れるほどない
  • このあたりはもう少し良い仕組みがほしい

その他

  • 購読コンプラ問題は大学に籍だけもらうのが一番いい気がする
  • Zoteroへの登録はcommand+ shift + sでもできる

参考情報

Mishima.syk #18やります

前回から10ヶ月くらいぶりですが、Mishima.sykをやります。参加はこちらから

今回は流石にオフラインで集まりたいですねと話していたのですが、なかなか難しいですね。green lightが得られるのはいつになるのやら。

そんなわけで、最近のんだ緑のビールをカバーイメージに選んでみました。

今回トークは論文管理周りをぶっこんでみようかなぁと考えています。最近はZoteroで文献管理しているのですが、やっぱり読書感想文をシェアしないと、賢くなんないよなぁと感じているのでそのあたりの話をしてみようかなと。SOSOG開発してハッピーな人がいるかどうかも聞いてみたいし。

それから、話は変わるのですが、先週のCBI講演会に参加された皆様ありがとうございました。のっけからFMOのほうに話を捻じ曲げてしまってすいませんでしたと思いました。ただ、パネルディスカッションに参加してみて強く感じたことがあったので以下に書いておくので次回のMishima.sykでフィードバックもらえると嬉しいです。

そもそもFEPを含めた技術によって「(サイエンス的に)わかる」と「プロジェクトに貢献する」の間には隔たりがあって、他社の分子設計の人たちは前者の立ち位置によっている人たちが多いように感じました。一方で私達のチームは後者の意識が強いっぽく(メドケムと分子設計の境目があまりない人が多い)、結果として人材育成やプラットフォーム構築の考え方が大きく違っているように感じました。

それではMishima.sykをみなさんと楽しく議論できる場にできればと思います。

駄文寄せ集め

最近アレヤコレヤと忙しくて、なかなかゆっくり考える時間がないのですが、在宅勤務は最高ですな。こればなければ片道2時間の通勤時間の私はすでに詰んでいる。ただ、外に出なくなってしまい、修善寺に山葵の花を買いに行きそびれて旬が終わってしまった気がする。河津桜も満開だし。

来週くらいにはまん延防止も解除されてまたビールでも飲みに行きたい。

オープンイノベーションのこと

製薬企業のオープンイノベーション担当って難しいよなぁと思っています。イノベーティブな関係性はどうやって構築していくのがいいんでしょうかねぇ。特に、担当者の知識のないフィールド(AI創薬関連とか)のお話が降ってくるたびにしんどいのは各社共通のお悩みっぽいですね。良し悪しの判断が(他社が導入したか否か)なのは、老若問わず一定数存在していて、このあたりに決定権があるとあれなんだろうなぁと。

SBDDとかCADDのこと

今のSBDD/CADDチームはなかなか楽しく成果も出しているので、研究所の規模の割には人数が割かれている感じです。チームの強さだけを目指すのであればこのままでいいかなと思うんだけど、最近色々ありまして「社外からSBDD頑張ってるって言われる会社にするにはどうしたらいいんかな」ということを考え始めています。寄せられた期待感の一部はキックバックしますので、みんなで考えていきましょう。

そういえば来週のCBI講演会にパネリストとして登壇することになっています。皆様のキャリア形成の参考になれば良いなと考えています。

Modalityについて思うこと

Wikipediaによると

モダリティ (modality) または法性(ほうせい)、様相性(ようそうせい)[1]とは、話している内容に対する話し手の判断や感じ方を表す言語表現のことである。

自分でmodalityが使われている古い文献を追いかけたことがあって、そのときは20年くらい前のAZのJ..M.C(だと思う)に 抗がん剤のモダリティ というような感じで記述されていたのを発見して、「治療コンセプトを達成するための薬剤の多様性」なんだなぁと理解していてました。

しかし、昨今のモダリティの使われ方は、分子サイズとMoAのカテゴリという意味合いで使われていることが多い気がします。特に経営側、VC、オープン・イノベーション関連の部署は自社ショーケースのカテゴリをいかに増やして豪華に見せるかという側面での使われ方が多いように感じます。そのあたりは自社も他社も一緒で四半期決算報告書とかR&D報告書なんかを見ればわかると思います。

さて、もともとの言語表現に例えると、これは単語帳を作るようなものだよなぁと思っています。そもそも、良い文章を書いて相手に伝えるためにどういう単語を選択するべきかという話が、ある単語がマッチするようなセンテンスを考えましょうという問題に置き換わっているような気がしていて、それってどうなんだろうなぁと感じる今日このごろです。