LLMは「独創的でないが、一見創造的に見える仕事」を肩代わりさせるとよいのでは?

前回も書きましたが、私は「LLMは単語の並べ方の新しいカタチのデータベース」と捉えているので、使い方もそんな感じになっています。

大体よくやるのはより簡潔な表現を探索するというタスクで、長い文章のアブストラクト書かせたり、ビジーなPowerPointのスライドの表現を簡潔にしたりとか、真面目にやると意外と時間がかかる仕事が捗るので重宝しています。

あと、最近使ってみて良かったのが表題の通りで、いわゆる標語の作成です。なんかアツい思いの長文書いて、「これを完結に表現する標語を3つ提案してくれ」とかやれば、なかなか良い感じの「単語の並び」が返ってきます。それをちょっと手直しすればあっという間に作品の完成です。標語の作成にそれは邪道では?とか思いがのってないんじゃないの?とか思わないこともないのですが、そもそも長文書いている時点で想いがのっているので、それを簡潔な表現にするところは単なる作業で「単語の並びに想いは乗らんよ」ということで割り切っています。ちなみに効率はよいです。

とか、書いていて、そもそもPowerPointのスライドの内容からタイトル提案させるのしょっちゅうやっているので、それと変わらんやんと気がついた次第。

生命科学研究のためのデジタルツール入門

ChatGPTとDeepLの使い分けをどうしているのだろうかと気になっていたので、発売日と同時に生命科学研究のためのデジタルツール入門を買ったのだけど、忙しくてレビューを書いていなかったので。

対象読者は、ラボに配属されたばかりの学生だと思いますが、その前の学部2回生くらいから読んでおいてもいいと思います(というわけで今週帰省してくる娘に読ませようと思っている)。

自分としては冒頭書いたように8章のAIツールの活用に興味があったので、勉強になるところが多かったです。

LLMは「単語の並べ方のデータベース」として、よい表現(よい単語の並べ方)を得るのに使うことが多いです。そのあたりはニュアンスの説明が難しいのですがなんというか将棋ウォーズの棋神みたいな使い方になっている気がします。

LLM使ってどういう面白いことをするのかは次回のMishima.sykで少し触れる予定です。

will, can, mustのmustは動くんだよということ

will can mustはマネジメントの視点から語られることが多いように思いますが、先日の部の方針説明会で逆の立場、つまり従業員の視点からの私の捉え方を話したのでちょっとメモっておきます。

そもそも will can は従業員に紐づくもので、mustは会社からの要求であり、3つのオーバーラップを最大化するのが重要ということに異論はありません。

  • will: あなたの理想、在りたい姿
  • can: あなたの能力、できること
  • must: 会社からのあなたへの要求、仕事のアサインメント

さてwillもcanもmustも大きくなったり動いたりするわけですが、自分でコントロールできないmustにどう対処するかという話になります。

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このように3つのバランスが取れていればハッピーだし、マネジメントはこの状態を目指しますが、会社の方針が変わったり異動があるとmustは動きます。

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このように乖離が起きたときの対処法は4つあると思います。

1つ目

will,canのエリアを大きくしてmustの動きに対して安定な状況を目指す、つまりロバストネスの獲得でしょう。自身のやりたいこと(will)、やれること(can)を大きくすれば会社の方針変更にも対応できると思います。わりとマッチョな考え方であるとは思います。

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2つ目

will,canをmustに寄せるということでしょう。会社の指示に柔軟に対応するということになり、willはまぁ適合できるかもしれないけど、たいていcanがついてこなくて3つのオーバーラップは小さくなりがちかと思います。

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3つ目

mustを動かせるようになるということですね。端的に言うと、出世して経営方針に口を出せるようになるということです。ただし、これは時間もかかるし面倒な茨の道なのかなぁと思います。それなりの会社に対する忠誠心も必要になるので、終身雇用を信じる人のオプションなのかなぁと思いますけど。

4つ目

当然、自分のwill,canとオーバーラップを最大にするmustを再選択するという選択肢であり、それがいわゆる転職にあたると思います。

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上の4つのどれが正解、不正解というものでもないですが、自分の人生の価値を最大化させるというためには意識しておいても良いんじゃないかなぁと思います。

点と点はつながって線になるという話を実感しました

第456回CBI学会講演会に参加された皆様、講演者の先生方大変お疲れ様でした。今回も非常に盛況だったように思います(というか盛況でした)。特にすべての講演で良いTakeawayがあって大変良かったです。というより私が一番満足した気がしますw

講演会の録画等はないので、ここからは参加した人にしかわからないよなーという内容を含む前提で書いています。

講演の中で私に刺さったメッセージは沢山ありましたが、特に次の3つは特に響きました。

  • 情報を発信した人に情報が一番集まる
  • 研究やめたら目利き力も失われる(意訳)
  • 誰と一緒に働くかが大切

最初のメッセージはAのNさんのメッセージで、「そうですよねー」っていう同意しかないです。ちゃんとコミュニティーに還元するからgive & takeが成り立つのであってgive & giveは持続性はないですよねと思いました。 二番目のはTのTさんのメッセージというか、私に口酸っぱく言われたそうなのでそうなのでしょう。役に立って良かったです。ただ、私の基本的な価値観ではあるので自分はそう在りたいと思うし、そうしか生きられないのでしょうねぇ。 最後は何人かが同じようなことを言っていましたし、スタートアップのマインドだと思うし、ジム・コリンズの「誰をバスに乗せるか」と同じような価値観だと思います。

タイトルの点と点がつながって線になるという話は何人かされていたのですが、最後にIのFさんがメディシナルケミストリーにおけるAIの活用(第404回CBI学会講演会のお知らせ)を出したのを見て、 「この講演会の企画も点と点がつながった結果なんだなぁ」 としみじみ感じました。

私は前職含めると10年近くこの学会に関与していますし、転職した際にDSの知り合いから「そろそろ運営委員に戻ってこない?」と誘われてそれからいくつかの講演会を企画しています。講演者のすべてがなんだかんだと点と点としてつながっていて、結果として私のキャリアを形成しているように思います。もうひとつ、某ソフトウェアのユーザー会というコミュニティも私のキャリア形成に大きく関与しています(SのNさんも言及していましたが)。Mishima.sykはこのコミュニティの派生物といってもいいですしね。

TのTさんが、同期、上司、部下を尊重しましょう、助け合いましょうというようなことを言っていましたが、他社の同士とも助け合ってお互いを高め合っていきましょうというマインドが重要なのかなぁと改めて感じました。

弱い紐帯の強さではないけどコミュニティ活動は重要だし、自分の成長にも良い影響を与えると思うので積極的に関与していくと良いかなと思います。ちょうど来月湘南に新しいコミュニティが立ち上がるそうなので興味があればぜひ参加すると良いと思います。

セミナーの後、近所に住んでいるオーガナイザーと講演者で集まって反省会(という名の飲み会)をしました。

偉くなっていくと部下を尊重するのが難しくなるけどなんでだろうねーってことについて考えてみた

職位と人間の格を混同しがちというか役職と人格を同じものとして捉えてしまう人は結構いがちだと思います。 人が人を評価するからしょうがないのかなーとは思いますし、昭和感満載の会社の人事部の人とかはその傾向が強いように思います。ただ、転職先に後から入社してきた上司が前職部下の部下になったとか言う話はよくありますし、実際に前職でも見てきたので、役職と人格は切り離しておいたほうがよいよねとは平成の早い段階で強く意識したことは覚えています。

そんな経験がありまして、自分の場合には部下に転職できるようにしておいて現職で全力を尽くしてほしいと言ってるし、職位は単なる役割だと思っているので、役職と人格を結びつけることは少ないのかなぁと思っています。あとは部下がそういうマインドでいるよと思っていたほうが、部下に対し横柄な態度を取ったりしない自制心につながったりしてよいのではないのかなぁと。一方でその裏返しとして「部下の成長に対して責任を負ってない」ように見えるとかフィードバックを受けることもたまにあります。

もう一つされた指摘で心に残っていることは「fmkzさんって相手をあんま染めないですよねー」と言われたことで、確かにーと思いました。意外に偉くなると〇〇チルドレンを作りたがるひとっていますよが、同質に染め上げて何が楽しいのかねとかと私は思うのだけど、あれはアライン(意思の伝達)がやりやすくなるんだろうなぁと考えています。軍隊とかのトップダウンの組織のあり方としては良いのかなぁと思います。

私のマネジメントのあり方は、完全に自分のDJの考え方に立脚していて、沖野修也がしめしたように「曲という小さな物語をつなぎ合わせてより大きな物語を作りだす」ように「サイエンティストという個性をつなぎ合わせてより大きなサイエンスをする」ってことなのかなぁと理解しています。BPMいじったり、Fxかけたりするけど基本的には曲そのものを大きくいじることはしないし、違うジャンルの曲をつなげることが好きですね。同じ曲を何度も繰り返してもそれはDJingとは言えないしなによりつまらんよねぇ。

とか考えるとマネジメントが人格批判をする行為って、DJが作曲そのものに文句を言う行為なのかなぁと。

伏見で飲んだり子どもの引っ越しを手伝ったりラボの教授の傘寿に参加したり日本橋をウロウロしてみたり

先々週は大学生になった子どもの引っ越しの手伝いをするために京都方面に行ってました。計画が色々とタイトすぎてしんどかったです。土曜日に伏見で昼飲みをする予定になっていた(外せない)ので、日曜に引っ越しを手伝うことにしたのだけど、やはり昼飲みは楽しすぎて次の日ヘロヘロになりながら家電の設置をしたり家具を組み立てたりでまぁ頑張りました。でその後の夕方、ホテルオークラに移動してラボの教授の傘寿を祝いつつ、同級生とかと近況報告をしたりで楽しく過ごしましたが、自営にチェンジした人が意外に多くてびっくりしました。皆さんやりたいことを追い求めているのですねーと思いつつ。

「そういえば、、、」と子供が話してくれたのですが、「いかにして問題を解くか」が大変良かったそうです。彼女が高校に入学したときに、おすすめの本を何冊も贈ったのですがその中の一冊だけが役に立ったようです。数学のやつはむずすぎて諦めたといってましたが、私はあの辺りを嬉々として解いていたのだよ。というわけで、同時期に高校入学した息子にも同じような本を贈ってやりました。彼はどこまでいくのだろうか、、、

というわけで本日は、大阪じゃない日本橋のほうに用があったのでこなしつつ、帰りに神田の立ち飲み屋を何件かはしごして新幹線のなかで、突然「なんか書いておこう」と思い立ち、カタカタやっています(なのでオチもなにもない)。

オチはないのだけど、周りの環境がユルユルと変化していく状況を見るに「私もそろそろなにか変えないとあかんのかなぁ」とちょっと思いました。

最近の私

いろいろとバタバタしていて、たまにはなんか書くかと思いつつ、ラップトップを開くもNetflixにトラップされたりとか。

京都に向かう途中で暇なので更新することにしました。

3月に大阪に行った

人類みな麺類に行ってみたかったのだけど行列がなかなかだったので、諦めてかむくら

ゆきむらホルモン

会社の昇進面接お疲れ会。皆様おつかれさまでした。

昇進は成果へのご褒美ではなく、より大きな成果を得てより大きな報酬をもらう機会なので、皆さんがんばってください。

綾と大島と富士錦の蔵開きも行った

なんか色々と人にあった一ヶ月だったように思います。

CBI講演会

我々のチームの企画がオープンになりました。タイミングもよかったのですが、スタートアップを立ち上げた方の講演もお願いすることができました。TEKMOFは出来立てほやほやです。

XXの知識ゼロ人間にXXが説明できるか選手権

会社帰りの電車の中で何気なく「お笑い知識ゼロ人間に笑いが説明できるか選手権」というコンテンツが目についたので見ていたら、結構人が乗っていたにも関わらず、吹き出してしまった。

お笑いだけでなく、最先端の技術とかを知識のないステークホルダーに説明しないといけないときによく起こりがちだなぁと。特に二人目の芸人のように千日手模様になったときに打開を目指さなきゃならんのは説明する側だよなぁと認識した次第。

で、研究者が自身の高度な分析手法や専門的な知識を素人に説明するときに、暗黙知が邪魔をして、平易な説明のつもりが厳密な記述にはしった結果、余計わからない説明になるというのはあるあるなのですが、GPT-4Google Geminiがこの点をある程度解消してくれるので最近は便利になったなぁと感じます。

暗算の代わりに電卓を使う感覚で文章の計算ができるので非常に快適ですね。

最近読んだ本

コンサルにオーセンティックリーダーシップについて学ぶことを勧められたけど、ちょうどいい本が見つからなかったのでザッピング的に色々読んでみた。

昭和感満載だがそうよねーと納得する部分も多い

  • 部下がこうだからつかえないというのは、使おうとする努力を怠っている言い訳に過ぎない
  • 影で部下の悪口は言わない、言わせない
  • 会社の将来を作り出すのは技術開発部門
  • 人を動かす秘訣は麦踏みと同じ要領
  • 「歩」を「と金」するとう強い意志

あまり参考にならなかった

  • 「状況を変えること」がリーダーが果たすべきこと
  • 「らしさ」は周りが評価する

  • 「既存戦略の長所と短所」「短期的にみた最大の課題と機会」「中期では」「より効果的な経営資源」「自分の立場だったら何を優先するか」
  • 一人の作家を真似るのは盗用だが、多数の作家を真似るのは研究
  • 上司は「聞くタイプ」と「読むタイプ」の2通り

Looking Back on 2023 and New Year Resolution

あけましておめでとうございます、今年も良い一年でありますように。

元旦にエントリをアップしようと思っていたのだけど、おせち作りに夢中になったり、久々に日本酒を飲みまくったりしてこの数日はダラダラすごしてしまいました。

去年を振り返って見るに、マネジメントとしてはまぁ及第点かなぁと思います。実際組織アセスメントみたいなスコアは大幅に改善したので役割を果たしたかなぁと。一方で360度評価は悪くはないけどあまり納得のいく結果じゃなかったのでちょっと凹みはしたけど、「仲良しクラブを目指したいわけじゃないからなぁ、難しいですねー」といった感じ。 研究に関していうと、フロンティア軌道を考慮したフィンガープリントを思いついて春くらいには実装できたはずなのに忙しさにかまけて放置したせいで、11月の構造活性相関シンポの締め切り間近に実装したので、今年はもう少しコーディングの頻度をあげなければならんなと思いました。

あとはちょうど節目の年だということもあって、人事の研修があり(この会社の研修制度は外部の使い方も含めて非常に質が高いのでそこは大変気に入っています)、残りの人生についても少し考えさせられましたが、まぁ私としては頑張るしかないので、「どこでも楽しく頑張るだけ」かなぁと思います。

私は、「WORK」の

わたしたちは、自分の能力そのものに忠誠を尽くすのだ。自分の仕事と、その仕事を尊重し励ましてくれる職場に、忠誠を尽くすのである。

という一節が大変に気に入っていて、部の皆さんに年末年始に暇だったら読むことを勧めたのだけど、何人か読んでくれると嬉しいなぁと思います。

ProductName 仕事と幸福、そして人生について
ディスカヴァー・トゥエンティワン / ¥1,760 (2009-02-18)

ここからは年末年始に考えていたことです。

心理的安全性の確保問題

昨今話題の心理的安全性ですが、これはバランス論だと考えています。結局は受け手側の許容度の問題なので、受け手側がタフであればあるほど、タフな問題に取り組めるというだけのことかなぁと。自分は常々部下の人に「いつでも転職できるという(スキルセット、社外認知度を身に着けた状態で)、今の職場で全力を尽くしてほしい」と話しています。そうしないと、職階の壁って取り払いにくいよなぁと思っているし、ストレッチした目標(SOTAを超えるとか)に取り組むには必須だと考えているからですね。

そのあたりを無視して、レベルの低い人にコンフォートゾーンを揃えるのは負のサイクルを回すことになるので、流石に企業はそれはやらないと思います。で、最近の叱らない(褒めるだけ)のマネジメントと組み合わされると、褒められているのに退場させられる人が増えてくるのかなと思います。結局、「褒められてない部分は要改善やぞ」っていう暗黙のメッセージを受け取れるかどうかが重要になってくるので、そのあたり理解していない人は「?」って言う間に退場するのではないでしょうか?

個人的には残酷なマネジメントだなぁと思いますが、叱られたくない人が多いので仕方ないのかなぁと考えています。逆にそういうあたりに真摯に向き合って「そこはだめなところやぞ」って指摘すると360度評価で削られるのでどうなんやろねーって悩んでいる管理者は多いんじゃないかなぁとw

難しいですね、、、

成果のグラデーション、無邪気と確実性

研究職は不確実性を含むのでうまくいくことを信じてプロジェクトを遂行します。現場の人は無邪気にサイエンスをすればいいのですが、経営に近づくに従ってビジネスとして成立させることが求められます。

このグラデーションというかマインドセットチェンジが意外と難しいもんだなぁと感じます。

具体的に言うと管理職階が上がるにつれて、不確実性を織り込んだ確実な計画遂行が求められるようになります。極端な例を上げれば「サイエンティフィックな判断に基づき、すべてのプロジェクトを早期に終了しました」は現場の研究者としては駄目なプロジェクトを迅速にたたんだとして褒められるべきではありますが、マネジメントとしてはビジネスを先に進められなかったという責任を負う必要があります。

ビジネス側に立てば「なんで予定通りに行かないんだ?」ってなりますし、研究側にたてば「予定にないトラブルが起きるのが研究なのに?」ってなるのでそのあたりを両立させるのが難しいなぁと思っています。

どっちが強いのかは企業文化なんだろうなぁと思いますけど、自分としては研究者の幸福度を最大化するようなマネジメントを目指したいかなぁと思っています。