The Pillars of Knowledge Management

IT infrastructure, knowledge capture, participation, and culture

インフラを作って、サービスとしてローンチするところまでは簡単だけど、ユーザーを定着して組織の機能の一部として溶け込ませるかには多大な労力を費やさないといけないのが難しいし、会社はそのエフォートを理解してサポートしてきちんと評価しないといけないのでさらに難易度が上がる。

メディシナルケミストの組織の文化をどう変えていったかという取り組みについて書かれた論文だけど、組織変革が必要だなぁと感じている人には役に立つような試行錯誤が綴られていると思います。

CBI講演会お疲れさまでした

CBI講演会で講演してくださった方、参加された方ありがとうございました。事前に告知をするのを完全に失念しておりましたが、事前登録で軽く300を超えていたそうです(AZの研究者を呼んでAIの公演した時以来じゃなかろうか)。

演者、質問者ともにMishima.sykとSpotfireUGMのハイブリッドな香りがしたという感想を寄せてくれた方が複数いましたが、私もそう思いました。ちなみに次回のMishima.sykは4月くらいに開催しようかなぁという雰囲気になっているので、決まりましたらまた告知します。

ところでもともとDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という主体のない概念だったものを「(企業や組織が)IT浸透させて、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と主体をもたせることで、一気にマーケティングの バズワードとして浸透させたものだと理解しています。これを仕掛けた人は天才やなと思います。

というわけで、参加者の皆様のまわりの何がトランスフォームされるのか、もしくはトランスフォームしなければならないのかを考える切っ掛けになったのなら企画した甲斐があったかなと思います。

実験医学1月号

免疫特集

ImmuNexUTが便利そうであった。

いくつか面白そうな章があったけど、もう少し丁寧に読まないと理解出来なさそう。免疫は抽象的で「それって蛋白質と蛋白質のどういう物理的な相互作用が起こっているのだろうか?」とか考え出すと脳が震えるので困る。

TLRのリガンド認識

その昔CD14の立体構造予測をやっていたことがあって、ロイシンリッチリピート(LRR)って変な形だなあと思ったのと、あの半ドーナツ形状の内側で基質認識するのかなぁと思っていたら違った

さらに、「TLR9によるDNAリガンドの認識には、DNaseIIによるDNAの分解が必要である」という報告をみて、改めてこの結晶構造に納得した。

ついでにIMMUNE SYSTEMっていう分類の構造はすべて目を通しておかないといけないなと思った。

で、昔の実験医学を読み直していたら、アプタマー関連でいくつかの気づきを得たので、ちょっと試してみることにした。

Looking Back on 2021 and New Year Resolution

ちょっと時間が経ってしまいましたがあけましておめでとうございます。

去年を振り返ってみると、マネジメントに忙殺されないと誓ったにも関わらずほぼマネジメントばかりでしたが、ちょっとおもしろそうなフィンガープリントの作り方を思いついたので、今年はそれを形にできればなぁと思っています。

また、コーチングを受ける側からコーチする側になったことで、色々と心境の変化があったように思います。特に年末年始は自分のマネジメントスタイルについて、ひとり大反省会をしていました。

私はジム・コリンズのビジョナリー・カンパニー2にある「誰にバスをのせるか」に強く影響をうけていて、バスの運転の仕方(チームの方向性を決める)とバスをどう形作るか(チームの仕事の範囲とか)に全振りしていて、あまり乗客が快適に過ごせているかどうかに気を配ることを怠っていたので今年はそのあたり丁寧に対応していきたいと思いました。

それから今年はCADD/SBDDのチームとバイオインフォのチームがシナジーを出せるような方向でいろいろと挑戦していければいいなぁと思っています。もう少しターゲットファインディングに力を入れたいなぁと考えているのと、低分子以外のモダリティでもなにかおもしろい仕事ができればなぁと思っています。

ところで、先週コーチングをしているときにあるステークホルダーの方から、「どうやってチームメンバーにチャレンジを促しているのですか?」と聞かれて思い浮かんだのがこの言葉でした。

十分に発達した仕事は遊びと区別できない

やっぱり、SOTAを理解して、最先端の部分でワチャワチャと議論できて試行錯誤することを楽しめるようなチームが理想だし、そういう状況に身をおけるのがチャレンジしがいのあるチームなのだと信じています。

10年前の本ですが、一読の価値はあると思います。

ProductName 小飼弾の 「仕組み」進化論
日本実業出版社 / ¥1,880 (2009-03-19)

というわけで今年もよろしくおねがいします。

今の会社6年目に突入

今の会社に転職して今日から6年目です。ちなみにバイオインフォのチームを引き継いで1年くらい経ちました。

先日社内の大きな会議でバイオインフォの成果発表をしたのですが、1年半前に前任者がかかげた「知のめぐりのよいファーマを目指して」というスローガンをうまく引き継いだ成果を幾つも出せたかなと思ってます。まぁ資料作るのに非常に難儀して、土日を2度ほどぶっ潰してしまったのだけど、良いtakeawayが残せたと満足しています。余談ですが、社長も聞いてるプレゼンでアニメ(スラムダンク)ネタをぶっこんだのは私くらいのものでしょう( ー`дー´)キリッ

その反動もあって先週末は抜け殻と化していたのですが、東富士山荘でキノコ鍋を食べることは忘れずに実行しました。ちなみに、上にのっている白いのは松茸スライスです。今年は11/3に小屋を閉めるそうなのでギリギリセーフでした。

振り返ってみると、1年前にバイオインフォチームを引き受けたときには、「重いわー」と思ったのですが、この一年の成果としては十分なものが出せたかなと。あとは人に恵まれているなぁとは改めて感じました。

最後に「知のめぐり〜」の元ネタは@bonohuなのですが、知とひとのつながりはめぐっていくものなんだなぁと最近強く感じるようになりました(意味深)。

今年も頑張っていい成果を出せるといいなぁ。

個別化医療を目指した臨床開発

ドンピシャでした。

コンパニオン診断薬は思ったより難しくて、これ初期探索側からのアプローチでなんとかなるの?リバーストランスレーショナルリサーチをうまく組み合わせないといけないのかなぁと、お悩みが更に増えたのであった。

AF2に関する現在の私見

このあたりは読んでおくべし

結局のところ、モデラ―(職人)が丹精込めて編み出したホモロジーモデルと比べてどうよっていうか、リガンド結合サイト周りは人が丁寧につくったほうが高品質じゃないか?という。ホモロジーモデリングがよくわかってない人にとっては、簡単に予測構造が入手できるという利点はあるようだけど、立体構造予測に昔からまじめに取り組んできた人にとっては手間がほんの少しだけ削減されるだけの気がします。

End-to-endの技術はすごそうに見えるけど、それはその結果を応用してこそかなぁとちょっと思っています。AF2は物理化学的な知見は何も入れてないからPDBに登録されそうな構造を高品質に予測するだけっていう(ここはちょっと自分の認識が間違っているかもしれないが、ペーパーざっと見たところそう感じた)。

このあたりは化合物ジェネレータと一緒で,一つのツールとしてどう活用できるかを考えるのが重要で、化合物ジェネレータが「なぜその化合物を提案したのか?」と考えるのは無意味です。GANによる画像生成もまったく同じで、画像生成モデルでは静止画は高品質なものが生成できるのだけど、あの仕組みで動画を生成させるとダメダメなノイズになるとPFNの人が何年か前のIBISで基調講演してました。そういう意味ではああいうのに意味を求めてはいけないのかもしれません。

そうだったのか!臨床試験のしくみと実務

なんとなく買ってみたけど、初学者向けのわかりやすい本だった。

このあたりが知りたかったのでちょっと物足りなかった。

今後シングルセル解析がある程度進むと、患者さんの層別化のバイオマーカーとか出てくると思うのだけど、実際の臨床でどう活かすかとか臨床開発への組み込み方とかそのあたりの具体例とかが知りたかったんですよね。

Reviewでもいいのでなんか良さげな読み物があったら教えてもらえると助かります。

エッセンシャル 構造生物学 (KS生命科学専門書)

RNAの構造解析についてちょっと知りたかったので買ってみたが、読みやすかった。入門書としてよい。

RNAを標的とした低分子化合物の最適化にRNA低分子複合体の結晶構造ってどのくらい使えるのかなぁと。GPCRよりはやりやすいのかなぁと思うのだけど。