駄文寄せ集め

最近アレヤコレヤと忙しくて、なかなかゆっくり考える時間がないのですが、在宅勤務は最高ですな。こればなければ片道2時間の通勤時間の私はすでに詰んでいる。ただ、外に出なくなってしまい、修善寺に山葵の花を買いに行きそびれて旬が終わってしまった気がする。河津桜も満開だし。

来週くらいにはまん延防止も解除されてまたビールでも飲みに行きたい。

オープンイノベーションのこと

製薬企業のオープンイノベーション担当って難しいよなぁと思っています。イノベーティブな関係性はどうやって構築していくのがいいんでしょうかねぇ。特に、担当者の知識のないフィールド(AI創薬関連とか)のお話が降ってくるたびにしんどいのは各社共通のお悩みっぽいですね。良し悪しの判断が(他社が導入したか否か)なのは、老若問わず一定数存在していて、このあたりに決定権があるとあれなんだろうなぁと。

SBDDとかCADDのこと

今のSBDD/CADDチームはなかなか楽しく成果も出しているので、研究所の規模の割には人数が割かれている感じです。チームの強さだけを目指すのであればこのままでいいかなと思うんだけど、最近色々ありまして「社外からSBDD頑張ってるって言われる会社にするにはどうしたらいいんかな」ということを考え始めています。寄せられた期待感の一部はキックバックしますので、みんなで考えていきましょう。

そういえば来週のCBI講演会にパネリストとして登壇することになっています。皆様のキャリア形成の参考になれば良いなと考えています。

論文を読んだらアウトプットをしましょう

AdeleのHometown Glory (High Contrast Remix)を聴いていたらなにか書きたい欲求が高まってきたので今夜もまた駄文を投下しようと思います。

先週くらいに企業を超えてオンライン飲み会したときに「良さげな論文教えあってお互いプッシュしあってるかどうか?」みたいな話題がちょっと出たので、そのあたりの自分の考えをちょっとかいておこうかなぁと。このブログは誰に読まれていてどこまでリーチしているのかもはやわからんけど、みなさんの参考になればと。

まず、論文は読みましょう。論文は複利で効いてきて且つ効率がいいので、毎日1%でも人より多く論文を読めばいずれ自分への返礼(黒い仔山羊 @overload)として返ってきます。論文を読むのはザッピングでいいと思いますが、たまに面白そうって感じた論文は丁寧に読む癖をつけておくといいと思います。

それから重要なのはアウトプットすることです。「この論文読む価値あるわ」って同僚に勧めるだけでもいいですし、感想を付けてどこに読み応えがあるかというポイントを示すと更にいいです。そういう習慣を持つことで、論文の読み方が少し変わるし、要約とかポイントを把握することに意識を向けるようになると思います。あとは批評的に読むようにもなるでしょう。それから重要なのは同僚とか上司に自分がどういうことに興味を持っているかというアピールを自然に行うことができることです。おすすめされた論文に目を通して見る人は結構多いし、読んで共感を得たらフィードバックしてくる人も多いように思います。それにより論文を眺める視点に多様性が持ててより深く論文を読めるようになるという利点もあります。大体、論文は読むに従って個人のお作法が効率化(省力化)されてくる一方で、重要な点を見落とすことが多くなりますが、フィードバックを受けることで自分では見落としていた視点に気づくことが多く、ほう!となったりahaとなることがあるので、このような機会は貴重です。

こういうことは社内でやるのがよいかなと思うのですが、うちの会社はそんなカルチャーじゃないんだよなーという人は社内にそういう文化を醸成するように頑張るか、ソーシャルメディアでやればいいと思います。これは転職の際に有利に働くでしょう。ちなみにこういうマインドはGitHubにコードを公開して自分のスキルセットをオープンにしておく感じかなぁと思います。引っ張りたい側からすると、どの程度のスキルがあってどういうことに興味を持っているのかを知れることは非常に利点があります。

楽しく仕事をするためには、常に成長することを意識しないといけないという世の中になりつつあるので、「論文を読むのをやめたら死ぬ」という精神で研究生活を満喫しましょう!

Mishima.sykは来月半ばくらいにやります(多分)。

Modalityについて思うこと

Wikipediaによると

モダリティ (modality) または法性(ほうせい)、様相性(ようそうせい)[1]とは、話している内容に対する話し手の判断や感じ方を表す言語表現のことである。

自分でmodalityが使われている古い文献を追いかけたことがあって、そのときは20年くらい前のAZのJ..M.C(だと思う)に 抗がん剤のモダリティ というような感じで記述されていたのを発見して、「治療コンセプトを達成するための薬剤の多様性」なんだなぁと理解していてました。

しかし、昨今のモダリティの使われ方は、分子サイズとMoAのカテゴリという意味合いで使われていることが多い気がします。特に経営側、VC、オープン・イノベーション関連の部署は自社ショーケースのカテゴリをいかに増やして豪華に見せるかという側面での使われ方が多いように感じます。そのあたりは自社も他社も一緒で四半期決算報告書とかR&D報告書なんかを見ればわかると思います。

さて、もともとの言語表現に例えると、これは単語帳を作るようなものだよなぁと思っています。そもそも、良い文章を書いて相手に伝えるためにどういう単語を選択するべきかという話が、ある単語がマッチするようなセンテンスを考えましょうという問題に置き換わっているような気がしていて、それってどうなんだろうなぁと感じる今日このごろです。

The Pillars of Knowledge Management

IT infrastructure, knowledge capture, participation, and culture

インフラを作って、サービスとしてローンチするところまでは簡単だけど、ユーザーを定着して組織の機能の一部として溶け込ませるかには多大な労力を費やさないといけないのが難しいし、会社はそのエフォートを理解してサポートしてきちんと評価しないといけないのでさらに難易度が上がる。

メディシナルケミストの組織の文化をどう変えていったかという取り組みについて書かれた論文だけど、組織変革が必要だなぁと感じている人には役に立つような試行錯誤が綴られていると思います。

CBI講演会お疲れさまでした

CBI講演会で講演してくださった方、参加された方ありがとうございました。事前に告知をするのを完全に失念しておりましたが、事前登録で軽く300を超えていたそうです(AZの研究者を呼んでAIの公演した時以来じゃなかろうか)。

演者、質問者ともにMishima.sykとSpotfireUGMのハイブリッドな香りがしたという感想を寄せてくれた方が複数いましたが、私もそう思いました。ちなみに次回のMishima.sykは4月くらいに開催しようかなぁという雰囲気になっているので、決まりましたらまた告知します。

ところでもともとDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という主体のない概念だったものを「(企業や組織が)IT浸透させて、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と主体をもたせることで、一気にマーケティングの バズワードとして浸透させたものだと理解しています。これを仕掛けた人は天才やなと思います。

というわけで、参加者の皆様のまわりの何がトランスフォームされるのか、もしくはトランスフォームしなければならないのかを考える切っ掛けになったのなら企画した甲斐があったかなと思います。

実験医学1月号

免疫特集

ImmuNexUTが便利そうであった。

いくつか面白そうな章があったけど、もう少し丁寧に読まないと理解出来なさそう。免疫は抽象的で「それって蛋白質と蛋白質のどういう物理的な相互作用が起こっているのだろうか?」とか考え出すと脳が震えるので困る。

しゅうかつのやくにたてればやものがたり

Amenは癒やし

ProductName まんがでわかる 理科系の作文技術
中央公論新社 / ¥1,254 (2018-03-30)

久しぶりに、色々聴いてなにか書こうと思ったので駄文をと思い、就活の研究概要に関してメモっておきます。私の妄想なのであしからず。

まず、研究目的と結論は対応付けましょう、これでかなり体裁は整います。このあたりが変だと、その時点で論理性に疑問符がついてポイントかなり落ちますので気をつけるといいと思います。背景と目的はラボに入った時点で天から降ってくるものだと思いますが、大きな目的に対して小さな成果という体裁はどこを目指して何を成し遂げたのかがぼやけるので、目的の方のブレークダウンは必要かなと思います。研究内容のどこに自分はコミットしてどういう成果を出したのかを自信を持って主張できるとかなり印象は良いかなと思います。

また、研究内容に関しては想定質問をきちんと用意して望む方が多いと思いますが、結論と今後の展望に関してはあまり考えずに大きなことを書くとたいてい突っ込まれます。ウェットの研究内容で今後のプランに、突然「機械学習で解決したい」とか「AIを活用して」とかキャッチーなワードをぶっこんで膨らませると大体突っ込まれると思いますので、想定しておくと良いと思います。それから、そもそもの目的に関しても考えておくといいと思います。自分の研究がどういう未来を切り開くのかを語れないと研究者として?が付くと思います。与えられた問題設定のひとつ上のレベルになったときにそれはどういう問題を解決をすることになるのかとかどういう意味を持つのかを答えられるようにしておくとよいのかなと思います。このあたりは、会社に入ってもついてまわると思います。

それから、学会ではないので、研究内容の質問というよりは、「結果をどう解釈したか」とか「それはなぜそう思ったのか?」みたいな人の資質にフォーカスした質問をされることが多いと思うので、普段の研究に対する姿勢が問われるような気がします。教授や助教の先生と普段からよく議論されると良いのかなと思います。

All I need is ....

TLRのリガンド認識

その昔CD14の立体構造予測をやっていたことがあって、ロイシンリッチリピート(LRR)って変な形だなあと思ったのと、あの半ドーナツ形状の内側で基質認識するのかなぁと思っていたら違った

さらに、「TLR9によるDNAリガンドの認識には、DNaseIIによるDNAの分解が必要である」という報告をみて、改めてこの結晶構造に納得した。

ついでにIMMUNE SYSTEMっていう分類の構造はすべて目を通しておかないといけないなと思った。

で、昔の実験医学を読み直していたら、アプタマー関連でいくつかの気づきを得たので、ちょっと試してみることにした。

核酸医薬

よくまとまっていて大変面白く読めました。まぁ、自分は20年くらい前に入社してから半年くらいASOのオリゴマーをひたすら作らされて、「ASOって難しいなぁ」という感想しかありませんでしたが。

生物学的な発見としては面白いし、夢が広がりングなんだろうけど、工学(医薬品)としてコントロールしていくところにまだまだ課題があるんだなぁと改めて思いました。

読んでいて素朴に感じた疑問

  • 1.2 図4. オフターゲット効果を回避するためにシード領域の塩基結合力を弱めるとあるのだけど、それはオンターゲット効果も弱めるのではなかろうか?

アプタマーと、PDPSのような環状ペプチドのPros/Cons

  • ペプチドとアプタマーはどちらがフォールディングの自由度が高いのだろうか?
  • 核酸とアミノ酸の相互作用は限定的なのではないだろうか?(核酸側がメチル化したりしないとCh-πみたいな相互作用は獲得できないですよね?)
  • アプタマーはなにのalternativeになるのだろうか? 低分子それとも抗体?

というような疑問が浮かびましたが久々にサイエンティフィックな問題をゆっくり考えられて良い時間を過ごせました。

Looking Back on 2021 and New Year Resolution

ちょっと時間が経ってしまいましたがあけましておめでとうございます。

去年を振り返ってみると、マネジメントに忙殺されないと誓ったにも関わらずほぼマネジメントばかりでしたが、ちょっとおもしろそうなフィンガープリントの作り方を思いついたので、今年はそれを形にできればなぁと思っています。

また、コーチングを受ける側からコーチする側になったことで、色々と心境の変化があったように思います。特に年末年始は自分のマネジメントスタイルについて、ひとり大反省会をしていました。

私はジム・コリンズのビジョナリー・カンパニー2にある「誰にバスをのせるか」に強く影響をうけていて、バスの運転の仕方(チームの方向性を決める)とバスをどう形作るか(チームの仕事の範囲とか)に全振りしていて、あまり乗客が快適に過ごせているかどうかに気を配ることを怠っていたので今年はそのあたり丁寧に対応していきたいと思いました。

それから今年はCADD/SBDDのチームとバイオインフォのチームがシナジーを出せるような方向でいろいろと挑戦していければいいなぁと思っています。もう少しターゲットファインディングに力を入れたいなぁと考えているのと、低分子以外のモダリティでもなにかおもしろい仕事ができればなぁと思っています。

ところで、先週コーチングをしているときにあるステークホルダーの方から、「どうやってチームメンバーにチャレンジを促しているのですか?」と聞かれて思い浮かんだのがこの言葉でした。

十分に発達した仕事は遊びと区別できない

やっぱり、SOTAを理解して、最先端の部分でワチャワチャと議論できて試行錯誤することを楽しめるようなチームが理想だし、そういう状況に身をおけるのがチャレンジしがいのあるチームなのだと信じています。

10年前の本ですが、一読の価値はあると思います。

ProductName 小飼弾の 「仕組み」進化論
日本実業出版社 / ¥1,880 (2009-03-19)

というわけで今年もよろしくおねがいします。