The Pillars of Knowledge Management

IT infrastructure, knowledge capture, participation, and culture

インフラを作って、サービスとしてローンチするところまでは簡単だけど、ユーザーを定着して組織の機能の一部として溶け込ませるかには多大な労力を費やさないといけないのが難しいし、会社はそのエフォートを理解してサポートしてきちんと評価しないといけないのでさらに難易度が上がる。

メディシナルケミストの組織の文化をどう変えていったかという取り組みについて書かれた論文だけど、組織変革が必要だなぁと感じている人には役に立つような試行錯誤が綴られていると思います。

CBI講演会お疲れさまでした

CBI講演会で講演してくださった方、参加された方ありがとうございました。事前に告知をするのを完全に失念しておりましたが、事前登録で軽く300を超えていたそうです(AZの研究者を呼んでAIの公演した時以来じゃなかろうか)。

演者、質問者ともにMishima.sykとSpotfireUGMのハイブリッドな香りがしたという感想を寄せてくれた方が複数いましたが、私もそう思いました。ちなみに次回のMishima.sykは4月くらいに開催しようかなぁという雰囲気になっているので、決まりましたらまた告知します。

ところでもともとDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という主体のない概念だったものを「(企業や組織が)IT浸透させて、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と主体をもたせることで、一気にマーケティングの バズワードとして浸透させたものだと理解しています。これを仕掛けた人は天才やなと思います。

というわけで、参加者の皆様のまわりの何がトランスフォームされるのか、もしくはトランスフォームしなければならないのかを考える切っ掛けになったのなら企画した甲斐があったかなと思います。

実験医学1月号

免疫特集

ImmuNexUTが便利そうであった。

いくつか面白そうな章があったけど、もう少し丁寧に読まないと理解出来なさそう。免疫は抽象的で「それって蛋白質と蛋白質のどういう物理的な相互作用が起こっているのだろうか?」とか考え出すと脳が震えるので困る。

しゅうかつのやくにたてればやものがたり

Amenは癒やし

ProductName まんがでわかる 理科系の作文技術
中央公論新社 / ¥1,254 (2018-03-30)

久しぶりに、色々聴いてなにか書こうと思ったので駄文をと思い、就活の研究概要に関してメモっておきます。私の妄想なのであしからず。

まず、研究目的と結論は対応付けましょう、これでかなり体裁は整います。このあたりが変だと、その時点で論理性に疑問符がついてポイントかなり落ちますので気をつけるといいと思います。背景と目的はラボに入った時点で天から降ってくるものだと思いますが、大きな目的に対して小さな成果という体裁はどこを目指して何を成し遂げたのかがぼやけるので、目的の方のブレークダウンは必要かなと思います。研究内容のどこに自分はコミットしてどういう成果を出したのかを自信を持って主張できるとかなり印象は良いかなと思います。

また、研究内容に関しては想定質問をきちんと用意して望む方が多いと思いますが、結論と今後の展望に関してはあまり考えずに大きなことを書くとたいてい突っ込まれます。ウェットの研究内容で今後のプランに、突然「機械学習で解決したい」とか「AIを活用して」とかキャッチーなワードをぶっこんで膨らませると大体突っ込まれると思いますので、想定しておくと良いと思います。それから、そもそもの目的に関しても考えておくといいと思います。自分の研究がどういう未来を切り開くのかを語れないと研究者として?が付くと思います。与えられた問題設定のひとつ上のレベルになったときにそれはどういう問題を解決をすることになるのかとかどういう意味を持つのかを答えられるようにしておくとよいのかなと思います。このあたりは、会社に入ってもついてまわると思います。

それから、学会ではないので、研究内容の質問というよりは、「結果をどう解釈したか」とか「それはなぜそう思ったのか?」みたいな人の資質にフォーカスした質問をされることが多いと思うので、普段の研究に対する姿勢が問われるような気がします。教授や助教の先生と普段からよく議論されると良いのかなと思います。

All I need is ....

TLRのリガンド認識

その昔CD14の立体構造予測をやっていたことがあって、ロイシンリッチリピート(LRR)って変な形だなあと思ったのと、あの半ドーナツ形状の内側で基質認識するのかなぁと思っていたら違った

さらに、「TLR9によるDNAリガンドの認識には、DNaseIIによるDNAの分解が必要である」という報告をみて、改めてこの結晶構造に納得した。

ついでにIMMUNE SYSTEMっていう分類の構造はすべて目を通しておかないといけないなと思った。

で、昔の実験医学を読み直していたら、アプタマー関連でいくつかの気づきを得たので、ちょっと試してみることにした。

核酸医薬

よくまとまっていて大変面白く読めました。まぁ、自分は20年くらい前に入社してから半年くらいASOのオリゴマーをひたすら作らされて、「ASOって難しいなぁ」という感想しかありませんでしたが。

生物学的な発見としては面白いし、夢が広がりングなんだろうけど、工学(医薬品)としてコントロールしていくところにまだまだ課題があるんだなぁと改めて思いました。

読んでいて素朴に感じた疑問

  • 1.2 図4. オフターゲット効果を回避するためにシード領域の塩基結合力を弱めるとあるのだけど、それはオンターゲット効果も弱めるのではなかろうか?

アプタマーと、PDPSのような環状ペプチドのPros/Cons

  • ペプチドとアプタマーはどちらがフォールディングの自由度が高いのだろうか?
  • 核酸とアミノ酸の相互作用は限定的なのではないだろうか?(核酸側がメチル化したりしないとCh-πみたいな相互作用は獲得できないですよね?)
  • アプタマーはなにのalternativeになるのだろうか? 低分子それとも抗体?

というような疑問が浮かびましたが久々にサイエンティフィックな問題をゆっくり考えられて良い時間を過ごせました。

Looking Back on 2021 and New Year Resolution

ちょっと時間が経ってしまいましたがあけましておめでとうございます。

去年を振り返ってみると、マネジメントに忙殺されないと誓ったにも関わらずほぼマネジメントばかりでしたが、ちょっとおもしろそうなフィンガープリントの作り方を思いついたので、今年はそれを形にできればなぁと思っています。

また、コーチングを受ける側からコーチする側になったことで、色々と心境の変化があったように思います。特に年末年始は自分のマネジメントスタイルについて、ひとり大反省会をしていました。

私はジム・コリンズのビジョナリー・カンパニー2にある「誰にバスをのせるか」に強く影響をうけていて、バスの運転の仕方(チームの方向性を決める)とバスをどう形作るか(チームの仕事の範囲とか)に全振りしていて、あまり乗客が快適に過ごせているかどうかに気を配ることを怠っていたので今年はそのあたり丁寧に対応していきたいと思いました。

それから今年はCADD/SBDDのチームとバイオインフォのチームがシナジーを出せるような方向でいろいろと挑戦していければいいなぁと思っています。もう少しターゲットファインディングに力を入れたいなぁと考えているのと、低分子以外のモダリティでもなにかおもしろい仕事ができればなぁと思っています。

ところで、先週コーチングをしているときにあるステークホルダーの方から、「どうやってチームメンバーにチャレンジを促しているのですか?」と聞かれて思い浮かんだのがこの言葉でした。

十分に発達した仕事は遊びと区別できない

やっぱり、SOTAを理解して、最先端の部分でワチャワチャと議論できて試行錯誤することを楽しめるようなチームが理想だし、そういう状況に身をおけるのがチャレンジしがいのあるチームなのだと信じています。

10年前の本ですが、一読の価値はあると思います。

ProductName 小飼弾の 「仕組み」進化論
日本実業出版社 / ¥1,880 (2009-03-19)

というわけで今年もよろしくおねがいします。

今の会社6年目に突入

今の会社に転職して今日から6年目です。ちなみにバイオインフォのチームを引き継いで1年くらい経ちました。

先日社内の大きな会議でバイオインフォの成果発表をしたのですが、1年半前に前任者がかかげた「知のめぐりのよいファーマを目指して」というスローガンをうまく引き継いだ成果を幾つも出せたかなと思ってます。まぁ資料作るのに非常に難儀して、土日を2度ほどぶっ潰してしまったのだけど、良いtakeawayが残せたと満足しています。余談ですが、社長も聞いてるプレゼンでアニメ(スラムダンク)ネタをぶっこんだのは私くらいのものでしょう( ー`дー´)キリッ

その反動もあって先週末は抜け殻と化していたのですが、東富士山荘でキノコ鍋を食べることは忘れずに実行しました。ちなみに、上にのっている白いのは松茸スライスです。今年は11/3に小屋を閉めるそうなのでギリギリセーフでした。

振り返ってみると、1年前にバイオインフォチームを引き受けたときには、「重いわー」と思ったのですが、この一年の成果としては十分なものが出せたかなと。あとは人に恵まれているなぁとは改めて感じました。

最後に「知のめぐり〜」の元ネタは@bonohuなのですが、知とひとのつながりはめぐっていくものなんだなぁと最近強く感じるようになりました(意味深)。

今年も頑張っていい成果を出せるといいなぁ。

個別化医療を目指した臨床開発

ドンピシャでした。

コンパニオン診断薬は思ったより難しくて、これ初期探索側からのアプローチでなんとかなるの?リバーストランスレーショナルリサーチをうまく組み合わせないといけないのかなぁと、お悩みが更に増えたのであった。

AF2に関する現在の私見

このあたりは読んでおくべし

結局のところ、モデラ―(職人)が丹精込めて編み出したホモロジーモデルと比べてどうよっていうか、リガンド結合サイト周りは人が丁寧につくったほうが高品質じゃないか?という。ホモロジーモデリングがよくわかってない人にとっては、簡単に予測構造が入手できるという利点はあるようだけど、立体構造予測に昔からまじめに取り組んできた人にとっては手間がほんの少しだけ削減されるだけの気がします。

End-to-endの技術はすごそうに見えるけど、それはその結果を応用してこそかなぁとちょっと思っています。AF2は物理化学的な知見は何も入れてないからPDBに登録されそうな構造を高品質に予測するだけっていう(ここはちょっと自分の認識が間違っているかもしれないが、ペーパーざっと見たところそう感じた)。

このあたりは化合物ジェネレータと一緒で,一つのツールとしてどう活用できるかを考えるのが重要で、化合物ジェネレータが「なぜその化合物を提案したのか?」と考えるのは無意味です。GANによる画像生成もまったく同じで、画像生成モデルでは静止画は高品質なものが生成できるのだけど、あの仕組みで動画を生成させるとダメダメなノイズになるとPFNの人が何年か前のIBISで基調講演してました。そういう意味ではああいうのに意味を求めてはいけないのかもしれません。