先週はお盆期間ということもあって会議がほとんどなかったので、チームメンバーの人達と1on1ミーティングをいくつかこなしていました。1on1は部下の方の成長を促すのが目的なので、「どうやったら成長できるか?」≒「昇格するにはどうしたらいいか?(なぜ昇格できないのか)」みたいな話は結構出てきます。今回はそれ関係の話です。
研究職(に限らないと思いますが)だと、目の前にある仕事だけでなく、将来の成長につながるような検討なんかも時間が余っていればやってもらいますし、そのバランスも個人にある程度裁量が与えられていると思います。なんかやるならSOTAに近いところで試行錯誤したほうがいいんだろうし、現状の技術をサーベイしてからフォーカスして取り組むことを決めるべきでしょう。チームの場合だと、技術ロードマップに照らし合わせて、ストレッチされた目標として「こういうことにチャレンジできたらいイイなぁ」というようなものがチーム内で合意されているかと思います(自分たちだとAF2でPPIやりたいとか、diffdock絡めた超大規模VSの効率化検討してみたいとか、QMベースの新しい記述子開発に取り組みたいとか)。
とはいえ、ただ自分がやりたいことだけやるだけで他人の助言を全然聞かないっていう人ってのはちょいちょい存在していて、そういうひとはほとんど成長しないなぁと。レベルの低いところで試行錯誤されても、チームのノウハウとしてたまらないうえに、(レベルの低い試行錯誤の)プロセスを褒めることさえできないし、時間とリソースを無駄に消費するだけで成果にもつながらないしでマネジメントとしては嬉しくないです。さらに、本人自身も「なぜ昇格できないのだろう?」の悪循環ループにハマっている気がします。けど助言として受け入れないので、このサイクルは回り続けるという。
あとはちょっと前の管理者の会議で同僚が「人が足りなくて部下が創造的な仕事をするための時間が取れない(だから人を増やしたい)」という話をしていて、強烈な違和感を感じていたところ、興味深いツイートを見つけたのでQuoteしてみたのがこれ。
逆では? 自分の仕事を極限まで効率化して、無駄なことをやる時間を捻出できるのが優秀な研究者ではないかと。 https://t.co/VoyMnKeT9c
— kzfm (@fmkz___) August 17, 2023
というわけで、「無駄の質」と「無駄を楽しむ時間をどう捻出するか?」がトピックです。
無駄の質 (または必要な無駄とは?)
次に繋がる(plan Bでもセレンディピティでも画期的創薬手法でもお好きに)無駄な仕事というのは、それなりのレベルが求められると思いますが、自分は「高度に発達した学びが遊びと区別がつかない」のと同様に、「高度に発達した遊びは仕事と区別がつかない」あたりを基準においています。やはり無駄な仕事は楽しくないといけませんし、自分だけではなく他者の知的好奇心/欲求を満たすべきものが、よい無駄な仕事だと考えています。
やはりチームメンバーが、「その無駄仕事面白いわ」ってインスパイアされるようなものがベターでしょう。
無駄を楽しむ時間をどう捻出するか?
無駄を楽しむ時間をどう捻出するか?で思い浮かぶのがGoogleの20%ルールですが、「正直あれって80%の力で100%の正規の仕事をこなせるひとのための制度」ですよねーと思っていたのですがやっぱりそうみたいでした。
これは余談ですが、20% をやると本来の仕事は 80% になるはずですが、実態は本業が 100% のままで 20% が追加されるという 120% のような状態でした。半分冗談、半分本気で 「120% ルール」 と言っていました。
研究職としては上のスタンスですが、マネジメントとしては上記のマインドを持っているような人が楽しく働けるように環境を整えることになるかと思います。そのためにはチームとして効率化を追求して仕事に追われないような体制にするっていうのは最低限必要なのかなぁと思いますし、優秀で前向きな人を増やすことも必須なんでしょうねぇ。余談ですが、挑戦を「機会」と捉えるか「脅威」と捉えるかというのも重要だと考えていて、後者の人材は優秀だったとしても、すぐに「やらない理由」をポンポンとひねり出すのであまりものづくりの組織には向いてないかなぁと思います。