08122019 chemoinformatics
この記事は、創薬 (dry) Advent Calendar 2019 の8日目の記事です。
料理の四面体
皆さん料理は好きですか?レシピをいくつ覚えていますか? 食材や調味料が足りなかった場合にあなたはそれらレシピをアレンジすることができますか? もしアレンジできないのであれば、そもそも料理というものを理解していない証拠なので「料理の四面体」を読みましょう。
読んでいない人のためにネタバレを用意したので、ざっと読んでみてください。ちなみに私の強烈なaha体験はアヒージョと茹でた肉や野菜の油がけは可換であるという事実でした。これによりメタレシピというものに目覚めたし、急激に料理の応用の幅が広がった気がします。
創薬モダリティ
さて、ここからが本番です。
みなさんはモダリティをご存知でしょうか? もし知らなければNew Modalities, Technologies, and Partnerships in Probe and Lead Generationが参考になると思います。
以下は全文にアクセスできますが、論調が私の主張と合わない部分があるので参考として載せておきます。
モダリティの話が出てくると文脈には「低分子はオワコン、これからは中分子の時代」という既存の手法との対立が含まれていたり、百貨店よろしく、いくつのモダリティをピラーにするかという風に語られることが多いように思いますがもう少し統一的な視点を与えられないかというのが今回のお話です。
そこで冒頭の料理の四面体の枠組みを借りてきて、それぞれの辺に「分子量」「MoA」「測定系」というパラメータをアサインします。するとそれぞれの辺を頂点に持つ三角形が(広義の)モダリティを形成することになります。
分子量に関してはよいし、MoAもセントラル・ドグマだと考えればOKかなと思いますが、測定系が連続値をとるというのはちょっと乱暴だけど無視してください。
これでキレイに抽象化できたかなと。
こうしてみる特にモダリティで組織化する場合にはそれぞれのモダリティに応じたテーマの探索を志向すると思うのでプロダクトアウト色が強くなりがちだと思うのですが、そのあたりどういう風に舵を取るんでしょうね? 個人的にはRight Target -> Right Modalityをどう選ぶかというMoA in(マーケットイン)なアプローチは重要なんじゃないかなーと思います。そしてそれができるのがDryの人達ではないかなと考えています。
結局モダリティで組織化せざるを得ないのは技術ロックされるからだけど、コンピューターサイエンスとしては低分子の構造最適化も、ペプチドの最適化に特に壁はないし、バイオインフォマティクスもやればいいので、別にプロダクトアウトの立場になる必要性もないでしょう。むしろRight Targetが得られたあとに適切なモダリティの選択とドラッグデザインができれば楽しくプロジェクトに関われてハッピーなんじゃないかなと。
ただそのためには、key-lockシステムを超えたMoA干渉のアプローチ方法を理解しておく必要があるかなぁと思います。さらには新しいWetの技術などもキャッチアップしないといけないけど、分子設計者としての幅は広がって楽しいでしょう。
参考
今回昔書いた以下のエントリを参考に書き直してみました。