09 12 2018 chemoinformatics FMO Tweet
創薬 Advent Calendar 2018の9日目の記事です.
タイトルは適当ですが、内容はまともです。
タンパク質とリガンドの相互作用をきちんと理解する
Fragment Molecular Orbital Method(FMO)という方法があります。詳細はリンクか本を買って読んでもらえればと思いますが、要するにタンパク質とリガンドの相互作用を高精度に計算する手法です。
CRC Press / ?円 ( 2009-05-14 )
さて、このFMOをつかってA Medicinal Chemist’s Guide to Molecular Interactionsの再解釈をやるとどういうことがわかるかというと、読書感想文? としか言えないものが意外と(予想通り?)多いということですね。特に目視の解釈難しいそうだよなーってものは想像だけで解釈した純度100%のロマン結合ばっかりだった。結局きちんとFMO計算してPIEDAから相互作用を解釈するのがドラッグデザインには重要ということですね。もう一つ重要なことはリガンドの結合乖離過程というのは構造変化を伴わない、つまり生成物と反応物が変わらない化学反応(触媒反応)であるということですね E + L -> [EL] -> E + L 化学反応であるということはフロンティア軌道論で考える必要もあるのではないかということにつながり、LUMOもまた重要なファクターである可能性が高いという結論が導かれます。
ここまで簡単にまとめると
- タンパク質とリガンドとの相互作用を解釈するには量子化学計算が必要
- 相互作用を化学反応の一種として解釈するならLUMOも重要そう
ケモインフォマティクスによる活性予測
さて、ケモインフォマティクスでは上であげた相互作用をリガンドのみの情報から予測することになりますが、リガンドの性質を表す特徴ベクトルとして色々なフィンガープリントが提唱されています。
しかしながら、これらの手法はそもそも原子間の化学結合や相互作用については教えてくれないため予測精度の向上に関しては限界があることがわかりきっています、もしくは既に限界付近まできてる可能性も低くはないのではないかと考えています。
つまり何らかの形で分子軌道を取り込まないと、ケモインフォマティクスはスクリーニングレベルの大雑把な方法としてしか使えなくて創薬のリード最適化には役に立たないざっくりとした手法にとどまるんじゃないでしょうかね?
フロンティア軌道の情報を取り込むようなイケてる方法論があればいいなーと思いますが、なかなか難しいですね。
結論
- 活性予測の精度向上には、リガンドの記述方法に量子力学に基づいたアプローチが必要なのでは?
おまけ
こういうディープな議論がしたければMishima.sykにGO。次回は2/9にやります。